平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(13)解説
(13)副詞の呼応
副詞とは、単独で活用はせず、動詞、形容詞、形容動詞などの用言を修飾する語のことです。副詞の意味による分類では様態副詞、程度副詞、陳述副詞の3つに分けられます。
様態副詞情態副詞 | 動詞を修飾し、その動作がどのように起こったかを表すもの。擬態語、擬音語、擬声語、一部の畳語もこれに含まれる。そのうち、動きの量や人の量などを表す副詞を量副詞と分類することもある。 |
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陳述副詞 | 述語の陳述に呼応して用いられるもの。また、話し手の伝達的態度や事態に対する認識、評価を表すもの。必ず、もし、たとえ、たぶん、なぜ… |
程度副詞 | 形容詞などの状態性の語を修飾してその程度を表すもの。たいへん、とても、すごく… |
このうち陳述副詞は、述語の陳述に呼応して用いられるタイプの副詞です。
例えば「決して~ない」「必ずしも~とは限らない」「きっと~だろう」「どうぞ~ください」「まるで~ようだ」などなど… ある語が別のある語と一緒に現れることを呼応と呼んでいます。
1 否定表現の呼応 いまだ~ない
2 疑問表現の呼応 なぜ~か
3 仮定表現の呼応 もし~ならば
4 依頼表現の呼応 どうぞ~ください
5 あいにく
「あいにく」には何も呼応しません!
したがって答えは5です。
ディスカッション
コメント一覧
1.の いまだ〜ない(ず)
について、「いまだ部屋の中に、匂いが残る」
みたいに使われる事も多分にあるなと思います。
もちろん否定「いまだ〜ない」で使われることもありますが、
自分が見た辞書には「いまだ」の呼応は「ず」であり、
「ない」ではなかったのですが。
どうなのでしょうね。
>ぽんちゃんさん
「いまだ」は否定形が呼応することも、肯定形が呼応することもあります。
否定形が呼応する場合、今まで一度もないという意味になります。
肯定形が呼応する場合、「依然として」という意味に近く、ある状態がずっと続いていることを表します。
https://nihongonosensei.net/?p=20798
4と5について疑問がありますので解説お願いいたします。
まず5ですが「あいにく」は「~みたいだ」とか「~ようだ」とか
推量のモダリティと呼応しているように思えます。
「あいにく彼は来ない。」と使わないような気がするので。
それから4ですが「どうぞよろしくお願いいたします」という文であれば
「ください」が出てきません。使用方法が異なるというのであればいいのですが
申し訳ありませんが私の疑問点について解説お願いいたします。
>マッツさん
4について
「どうぞよろしくお願いいたします」は定型表現なので呼応とは呼べないです。
問題文だけに注目し、「どうぞ」と「ください」が呼応していることを見ます。
5について
「あいにく」はそれに呼応するもの述語の表現がなさそうです。
「あいにく~だ」でもいいですし、「あいにく~みたいだ」でもいいですし、「あいにく~ようだ」でもいいです。述語になんでも来れるということは使い方に制限がないということであり、使い方を制限する呼応は起きないと考えます。
すいません、あとから調べたら「あいにく」は制限がないようでした。
申し訳ありません。
「どうぞよろしくお願いいたします」につては了解いたしました。