「だから」と「それで」と「そこで」の違い
前件で原因や理由を受けて後件で結果を導く接続詞はいくつもありますが、ここでは「だから」「それで」「そこで」の違いについてまとめます。
N5、4で学ぶ「だから」は最も一般的ですが、学習者にとって「それで」と「そこで」は混同しやすいので注意が必要です。
だから
(1) 風邪をひいた。だから、出掛けずに部屋にいた。
(2) 大会が近い。だから、毎日練習している。
(3) 料理を作った。だから、手を洗った。
(1)は「風邪をひいた」という原因により、自分から「出掛けずに部屋にいる」という判断を下しています。(2)も(3)も同様です。
「だから」は何か理由を述べる時に、その原因と理由の因果関係を強調したい時に使います。
その人の意思・主張・判断を明示するので主観的です。
それで
(4) 風邪をひいた。それで、病院に行った。
(5) 大会が近い。それで、毎日練習している。
(6) 料理を作った。それで、手を洗った。
(4)では「風邪をひいた」という原因により、後件の「病院に行く」という行為を選択しました。
他にも薬を飲んだり、横になったり、仕事を休む等の選択肢がある中で「病院に行く」という選択をしています。
個々の状況に基づいて様々な判断を下すことが可能な状況下です。
(7)✕携帯が鳴った。それで、トイレに行った。
前件と後件は客観的な因果関係がなければ「それで」を使うことはできません。
そこで
(8) 風邪をひいた。そこで、薬を飲んだ。
(9) 大会が近い。そこで、毎日練習している。
(10) 料理を作った。そこで、手を洗った。
(8)は「風邪をひいた」という原因により、後件で「薬を飲む」ことを選択しました。
「それで」とは異なり、それ以外の選択肢の存在は感じられません。
前件の問題を解決するための意志を表す場合に「そこで」を使います。
(7)✕携帯が鳴った。それで、トイレに行った。
(11) 携帯が鳴った。そこで、トイレに行った。
「それで」は前件と後件の客観的な因果関係がなければ使えなかったのに対し、「そこで」は客観的な因果関係が無くても使うことができます。
携帯が鳴りトイレに行くのは客観的に見ると不可解ですが、「そこで」には後件の目的を聞き手に想像させる性質があるため非文にはなりません。
日本語のネイティブスピーカーが(11)を見ると、「携帯が鳴り、通話の内容を他の人に聞かれたくないので誰もいないトイレに向かった。」や「その人はトイレで通話する習慣がある。」など、後件には何かしらの理由や目的があるのだと想像できます。
これは暗示されているもので、その想像は聞き手によって異なります。ですから客観的な因果関係は「そこで」には必要ありません。
「だから」「それで」「そこで」の違い
「だから」は話者の意思・主張・判断を明示するので主観的な表現です。
原因と理由を強く言いたいときに使います。
「それで」は前件の原因を前提として話者の意思で選択できる行為が後件で表される場合に使います。
この3つの中で客観的な事柄を述べる場合は「それで」を使います。
「そこで」は前件の問題を改善/解決するための意志的動作がくる場合に使います。
前件と後件には客観的な因果関係が無くてもよく、その場合は後件の目的を聞き手に想像させる性質を持ちます。
以上です。