令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(12)解説
(12)「って」の用法
一目で引用の「って」だと分かれば、後件に「言ってたよ」とかつけて判別できます。
1 〇元気だって言ってたよ ↔ 元気だと言ってたよ
2 〇早く来いって言ってたよ ↔ 早く来いと言ってたよ
3 〇留学するって言ってたよ ↔ 留学すると言ってたよ
4 〇これおいしいねって言ってたよ ↔ これおいしいねと言ってたよ
5 ✕あなたって言ってたよ
選択肢1~4の「って」は引用です。他の人から得た情報について話すときに使うものです。
特に会話では「って」になりやすいですが、その原型は「と」です。
あなたって人はいつもそうですね
あなたという人はいつもそうですね
選択肢5の「って」は「という」の口語形。これは話し手と聞き手のどちらか一方の理解が進んでいない場合に、その物事や人などを説明、定義するときに用いるもので、「佐藤さんという人から電話が来ていましたよ」と同じ使い方です。引用ではないので「言ってたよ」が後接できません。
したがって答えは5です。
参考:【N3文法】~という
ディスカッション
コメント一覧
高橋先生、こんにちは。いつもお世話になりありがとうございます。
この問(12)、選択肢5を選ぶことができましたが、私の理解が合っているのか自信がありませんが、多分私は少し違う考え方をしたかもしれません。
選択肢1~4は、引用の「って」で、「1.田中さん、元気だって(聞いたよ)」「2.お父さんが早く来いって(言ってるよ)」のように、隠れた主節の述語がある係助詞的な「って」で、そして選択肢5は、軽蔑・批判・投げやりの気持ちを表す終助詞的な「って」ではないかと思いました。
選択肢5の文のシチュエーションとしては
(いつも飲み過ぎて酔っぱらい、いろいろな物を紛失する夫に妻が)
夫:「あー、ただいまー」
妻:「何度も電話してるのに、どうして出なかったの!?」
夫:「あっ、スマホがない… 今度はどこで落としてしまったかな…」
妻:「全くほんとうにあなたって(いつもそうなんだから!!)」