日本と中国で「お金」を表す手のサインが違う!

A:自転車盗まれて帰れない。
B:あそこにあるやつ盗めば?
A:そんなことしたら私もこれだって。

 「これ」のところで写真みたいな両手首を近づける動作をしたらある意味を発揮します。それは「逮捕される」という意味。日本でも伝わるし、中国の学生にも聞いてみたら中国でも伝わるって言ってました。今日は非言語メッセージというものについて少し紹介したいと思います。

 

言語メッセージは言語そのものに依存せずに意味を伝える

 私たちのコミュニケーションは、言語に依存した言語メッセージと、言語に依存しない非言語メッセージによって支えられています。言葉で「ダメ」と言うだけでも意味は伝わりますが、同時に両腕をクロスしながら「ダメ」と言えば意味を補完し強められます。さらに眉をひそめたり不満げな顔をすれば、ただ「ダメ」という以上の「ダメ」を伝えられます。相手に伝わる事柄のうち、言語を介する言語メッセージは主に内容面を、言語を介さない非言語メッセージは感情面を伝える役割を担っています。

 ジェスチャーも非言語メッセージの一種ですが、普通「ジェスチャー」と聞くと体全体、特に四肢を使うような動作をイメージするはずです。しかしジェスチャーは身体動作と訳されるように、頭の動き、姿勢、表情、目の動き、視線なども含まれます。「眉をひそめる」というのも身体的動作が伴っていますからジェスチャーです。

 今ではあまり見なくなりましたが、親指と小指だけ立てて耳元に近づけると電話を意味します。「趣味はギターです」と言いながら弾くふりをするのも、人差し指で自分のこめかみ辺りを何度も触る動作をして「あいつは頭がおかしい」という意味を表すのも全部そう。実は私たちが意識しないところでたくさん使われています。

 

エンブレムはどこの国でも通じるとは限らない

 ジェスチャーにはいくつか分類があります。そのうち最も文化の影響を受け外国人を困らせてきたのが、ジェスチャーでありながら言語メッセージとほぼ同じ機能を持つエンブレム。手のひらを下に向けて手招きするだけで「こっちに来て」と言わずに意味を伝えることができるように、エンブレムは言語メッセージ相当の意味を伝えられます。試合中に監督から送られるサインなどもそうで、あらかじめサインの意味を共有しておくことでその効果を発揮します。

 試合中のサインは自分のチームには伝わるのに相手チームには伝わりません。これは国や文化にも同じことが言えます。例えば手のひらを下に向けて手招きすることは国や文化によって「あっち行け」を示すことがあり危険です。エンブレムのほとんどはある文化の範囲内のみで解釈可能なので日本のエンブレムが外国で伝わるとは思わないほうがよくて、それどころか良くない意味を表す可能性もありますので注意しなくちゃいけません。



このジェスチャーなーんだ?

 親指と人差し指をこすり合わせるようなこちらの手の動き、中国で用いられるエンブレムです。
 一体なんの意味でしょう。

 答えは…

 
 
 お金でした!
 よくドラマなどでこういう場面があるそうです。

A:…あいつ、殺してくれないか。
B:(仕草)…あればやるよ。 (お金あればやるよ)

 加えてお金を要求するとき、賄賂のようなときに使うことが多いそうです。このエンブレムは日本では伝わりませんし、逆に日本で「お金」を意味する、親指を人差し指で輪を作って手のひらを上にする動作も中国では通じません。角度次第でOKサインにもなりますが、その場合は中国でも通じます。

 ジェスチャー、面白いけど知らないと怖い側面もありますね。

 




2022年9月9日日本語TIPS, 日本語のいろんなお話