平成22年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3D解説

(13)無意志動詞

 意志動詞は、人間の意志的動作を表すことのできる動詞。
 無意志動詞は、意志的動作を表すことのできない動詞。

 1 「光る」「降る」は人間の意志とは関係ない無意志動詞。
 2 可能動詞は動作ではなく状態を表します。これは無意志動詞。
 3 意志動詞
 4 自然に沸き起こるような心理現象は無意志動詞。

 したがって答えは3です。

 

(14)意志動詞と無意志動詞の線引き

禁止 命令・意志
困るな(?) 困れ(?)
落ち着くな 落ち着け
落ち込むな 落ち込め(?)
忘れるな 忘れろ

 したがって答えは3です。

 

(15)意志動詞と副詞

 1 わざと食べた
 2 うっかり食べてしまった
 3 つい食べてしまった
 4 思わず食べてしまった

 「食べる」は意志動詞ですが、動作が無意志的に起こることを表す副詞と一緒に用いると、上記のように「~てしまった」などと共起して無意志的な動きを表すことができるようになります。

 「わざと」だけは意志的なので間違い。
 したがって答えは1です。

 

(16)意志性によって説明できる文法現象

 選択肢1
 原因・理由を表すテ節とは次のようなものです。

 (1)雨が降って、地面が濡れた。 (前件も後件も無意志的)
 (2)ご飯を食べて、お腹がいっぱいになった。 (後件だけ無意志的)
 (3)値段が高くて、買うことができない。 (前件だけ無意志的)

 前件と後件のいずれか、あるいは両方が無意志的な動きを表すものを原因・理由のテ節と呼んでいます。
 なのでこの記述は誤りです。

 選択肢2
 「私が代わりに確認してあげる」
 意志動詞「確認する」に接続できています。この選択肢は間違い。

 選択肢3
 (4)先に食材を切っておいた。 (準備)
 (5)車をここに止めておこう。 (放置)
 「~ておく」はある目的のために準備すること、あるいは放置することを表します。無意志動詞には接続できません。

 選択肢4
 (6)すぐに出発しよう。 (意志動詞)
 (7)たちまち笑いがこみあげてきた。 (無意志動詞)
 「すぐに」のほうが意志動詞に接続しやすいです。

 したがって答えは3です。

 参考:【N4文法】~ておく/とく




2021年5月24日平成22年度, 日本語教育能力検定試験