平成22年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(13)解説

2021年5月2日平成22年度, 日本語教育能力検定試験 解説

(13)複合助詞

 複合格助詞は、格助詞では表しきれない意味を表すことができる格助詞相当の表現です。
 「妻とともに歩んでいく」は「妻と歩んでいく」よりも相手の存在にフォーカスを当て、明示的に表しています。意味をより具体的に、明示的にする機能があります。

 選択肢1
 「卒業後の進路を」と格助詞「を」に言い換えられます。
 「について」は「を」よりもテーマを明示的に示す機能を持っているので、複合格助詞です。

 選択肢2
 「スポーツ選手は」と言い換えられます。
 「にとって」は感情や感覚の主体をはっきり表す機能を持っているので、複合格助詞です。

 選択肢3
 「犯人は説得で」と言い換えられそう… と思ったら失敗です。
 「犯人は説得に応じて」の「に応じて」は相手の行動を受けて行動を起こす、反応する、という意味で用いられていますが、「犯人は説得で人質を解放した」の「で」は原因の用法です。
 言い換える前と言い換えた後では意味が変わってしまっているので言い換え失敗。

 「応じる」は2つの用法があります。

 ①相手の行動を受けて行動を起こす。 (説得に応じる)
 ②状況や変化とともに変化する。 (状況に応じて使い分ける → 状況で使い分ける)

 この文の「に応じて」は動詞「応じる」そのものの使い方をしているので複合格助詞ではありません。
 2つ目の用法であれば同じ意味の「で」に言い換えられるので複合格助詞なんですけど。

 選択肢4
 「被告人に」と言い換えられます。
 「に対して」は対象をより明示的に表す機能を持っているので、複合格助詞です。

 選択肢5
 「報道で」と言い換えられます。
 「によって」は原因をはっきり示す機能を持っているので、複合格助詞です。

 したがって答えは3です。

 





2021年5月2日平成22年度, 日本語教育能力検定試験 解説