令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(2)解説

(2)ガ行音

 「ガ行音」と聞いて一瞬で鼻濁音かな?と疑えたら鋭いです。各選択肢にはガ行が含まれてるので、遅かれ早かれ誰でも気づけるはずです。
 ガ行が鼻音になるのにはある程度規則性があります。こんな感じ。

 ①語中・語尾は原則鼻音化する
 ②格助詞・接続助詞は必ず鼻音化する
 ③連濁は鼻音化する

 これは規則性の一部です。詳しくは「ガ行鼻濁音が発生する条件とは?」を見てください。昔々こんな記事を書いていたのを試験中に思い出していました。

 上の「①語中・語尾は原則鼻音化する」とありますが、言い換えると語頭は鼻音化しないということなんです。「学校」の「が」を鼻音化して発音する人っていませんよね。それは語頭だからです。各選択肢のガ行の位置に着目してみると答えは導けます。

 1 かい
 2 じゅつしゃ
 3 だいくせい
 4 しゅいてん
 5 か

 選択肢2だけが語頭のガ行なので、普通鼻音化しません。答えは2です!

 補足ですが、近年ガ行は鼻音化しなくなってきているっていうのをどこかで読んだことがあります。ガ行の異音[g]と[ŋ]は意味を弁別しないので、より使われていない鼻音のほうが淘汰されてきているというのは悲しいけど理解できます… 鼻音のガ行がきれいな日本語! って言われますけど、だんだんこういう価値観も変わってくるんでしょうか。
 ちなみに埼玉、群馬だったかな? この辺りの地域方言は普通鼻音化しないみたいです。これは方言の特徴。




2021年4月7日令和2年度, 日本語教育能力検定試験