語と語の関係についてまとめ!

 ここでは語と語の関係、特に類義語、包摂関係、対義語などについてまとめています。
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目次

 

語と語の関係について

 

セマンティック・フィールド/意味領域 (semantic field)

 ある語を中心にして広がる、共通の意味的要素を持っている語彙の一群のこと。「風/桶屋」「夜/口笛/蛇」などのように、一見すると意味的に全くかけ離れているものでも、言語によっては比較的結びつきが強い独特な語群も存在する。

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シンタグマティックな関係 (syntagmatic relation)

 文として直線的に並べられる線条的な言葉の関係のこと。例えば、「眼鏡」と「かける」、「水」と「かける」の間の関係がこれにあたる。統合的な関係、横の関係とも呼ぶ。

 

パラディグマティックな関係 (parafigmatic relation)

 互いに入れ替え可能な言葉の関係のこと。例えば、「運転する」「操縦する」「漕ぐ」の間の関係がこれにあたる。範列的な関係、縦の関係とも呼ぶ。

 

同義語 (synonym)

 語形は違うものの、意味が完全に同じ語のペアのこと。「野球/ベースボール」「木/ツリー」「窓/ウィンドウ」「家/ハウス」など、意味が同じため文脈の中で言い換え可能なものを指す。ただし、いわゆる日本の戦い方を「野球」と呼ぶのに対し、メジャーリーグの戦い方を「ベースボール」と呼ぶようなニュアンスの違いがあり、この点を考慮すると完全な同義語は存在しないのではないかという議論がある。同義語は語が指し示す意味だけに着目するのか、それともニュアンスを含めたあらゆる点で比較するのかは意見が分かれている。ニュアンスを含めた比較をすると、「野球/ベースボール」は同義語よりも類義語と言える。

 

類義語 (synonym)

 語が持つ中心的な意味に共通性が認められる語のペアのこと。「綺麗/美しい/鮮やか」などは使用する場面によって近い意味を持つ。類義語は以下の3種類に分けられる。

一方の意味が他方に含まれるもの 「守る/保護する」「直す/修理する」など、上位語と下位語の関係にあるペアを指す。「守る」は人や動物を保護したり愛護することを表し、スポーツではディフェンスを指したりする。
部分的に重なり合う 「綺麗/美しい」「カッコいい/イケメン」「くだる/さがる」など。
隣り合って、重ならないもの 「児童/子供」「運賃/料金」「口蓋垂/のどちんこ」などの専門用語と日常語の区別。学校の文書等では「児童」や「生徒」を使い、一般に「子供」は使われない。一方日常会話ではその境界が曖昧ではっきり区別されることなく使用されている。

 語彙・意味 (新装版) (朝倉日本語講座 4)の村木新次郎「意味の体系」より

 

包摂関係/上位語/下位語/同位語

 「電子製品」と「スマホ」のように、一方が指し示すものの範囲内にもう一方が含まれるような語の関係のこと。指し示す範囲の広いほうの語を上位語、狭いほうの語を下位語と呼ぶ。下位語群は全て同じレベルに並んでおり、この関係を同位語と呼ぶ。上位語と下位語の関係は以下の3種類に分けられる。

類 ⊃ 種 上位語が下位語群の総称を表すもの。「果物」に対する「りんご/梨/みかん/バナナ/桃/葡萄/メロン/スイカ/イチゴ/レモン/ドラゴンフルーツ…」など。
全体 ⊃ 部分 部分が全体の中に所属しているもの。「顔」に対する「目/鼻/耳/口/頬/顎/眉/額…」など。
集合体 ⊃ 構成要素 下位語群を構成要素としたものが上位語にあたるもの。「G7」に対する「フランス/アメリカ/イギリス/ドイツ/日本/イタリア/カナダ」など。

 語彙・意味 (新装版) (朝倉日本語講座 4)の村木新次郎「意味の体系」より

 

対義語/反義語 (antonym)

 ある観点から見たときに対立するような語のペアのこと。対義語は以下の7種類に分けられる。

相補関係にもとづく対義語
(相補的対義語)
一方が肯定されれば、他方が否定される関係が成り立つ対義語のこと。それらの間に中間が存在しない。男と女、生と死などがこれにあたる。
両極性にもとづく対義語
(両極的対義語)
物事の両極にある関係が成り立つ対義語のこと。満点と零点、南極と北極、入学と卒業、頂上と麓、始まりと終わりなどがこれにあたる。空間上、時間上、数量などの尺度に基づく両極性を持ち、言語化できるかどうかに関係なく中間に位置するものが存在するが、それら中間地点は明確ではない。
程度性をもつ対義語
(連続的対義語)
中間点から相反する方向に段階的な連続性を持つ対義語のこと。大きいと小さい、長いと短い、痩せていると太っているなどが挙げられる。主に形容詞のペアで程度性を有するため、「とても」「非常に」などの程度副詞と共起できる。中間地点を明確に定めることはできないが、「とても大きい」「大きい」「大きくもなく小さくもない」「小さい」「とても小さい」のような段階的な連続性を持つ。
反照関係にもとづく対義語
(視点的対義語)
一つの事柄や物事を異なる視点から捉えた関係の対義語のこと。上り坂と下り坂、貸すと借りる、怒ると怒られる、来ると行くなどがこれにあたる。
互いに相手を
前提とした対義語
一方の存在が、もう一方の存在によって成り立つ関係にある対義語のこと。先生と学生、医者と患者、師匠と弟子などがこれにあたる。
変化に関する対義語 「上がる/下がる」「登る/下りる」「前進/後退」「行く/帰る」などの互いに逆方向への移動を表すものと、「寝る/起きる」「覚える/忘れる」「生まれる/死ぬ」「着る/脱ぐ」などの互いに元の状態に戻るものに分けられる。
開いた対義語 「和室/洋室」「普通/特別」「都市/田舎」「手/足」などは上記分類のいずれにも該当しないが、日常生活の中で繰り返し対比されることで対義性を感じるようになっている。

 語そのものの対義性以外に、「私はドラマをよく見るが、妹はアニメをよく見る」の「ドラマ/アニメ」のような文脈に依存した対義関係も存在する。本来対義語ではないが、文脈によって一時的に対義語となっている。

 語彙・意味 (新装版) (朝倉日本語講座 4)の村木新次郎「意味の体系」より

 

コロケーション (collocation)

 語と語の自然な組み合わせのこと。例えば、「辞書」に対しては、「使う」「見る」よりも「引く」「調べる」のほうが語と語の結びつきが強く、共起しやすい。

 

多義語

 複数の意味を持つ語のこと。例えば「眠る」は多義語で、睡眠状態を表す用法と、死を意味する用法がある。

 

同音異義語

 同じ音形で意味が異なる語同士のこと。「審議」と「真偽」などが挙げられる。





2020年8月18日日本語教育能力検定試験 解説, 用語集