お蕎麦屋さんの「さん」は擬人化の用法?

 学生から「お蕎麦屋さん」の「さん」についての質問が来ました。
 「さん」は主に人名についてその人に対する敬意を表しますが、このケースはお蕎麦屋なので人ではありません。不自然だと感じる人がいてもおかしくないですね。

 

「さん」は軽めの敬意を表す

 「さん」は主に人を表す語に後接して軽めの敬意を表す接頭辞です。苗字や名前、役職、職名などにつきます。

佐藤さん、太郎さん、社長さん、お巡りさん、お父さん、お母さん、お坊さん…

 人以外にも、お店や団体名、企業名などにも後接して敬意を表せます。これが学生から質問があった用法です。

ケーキ屋さん、お蕎麦屋さん、A株式会社さん…

 また、「ゾウさん」「ライオンさん」などの動物や物事に後接した場合はその物事を擬人化・人格化した上で軽めの敬意を表します。この用法で代表的なのは『おべんとうばこのうた』でしょう。

これっくらいの おべんとばこに
おにぎり おにぎり ちょいとつめて
きざみしょうがに ごましおふって
にんじんさん さくらんぼさん
しいたけさん ごぼうさん
あなのあいた れんこんさん
すじのとおった ふき

 これら「さん」の語源は「様」で、「様」を用いたほうが丁寧さの度合いが高まります。

お疲れ様 → お疲れさん → お疲れ
ご苦労様 → ご苦労さん → ご苦労
ご馳走様 → ご馳走さん

 
 お蕎麦屋さんの「さん」は擬人化ではなく敬称です。
 動物や物事についたときが擬人化の用法となります。





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