令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題15解説

問1 日本語能力試験

 選択肢1
 2018年度2回分の国内レベル別受験者数を見てみると、受験者数は均等ではありません。

N1 N2 N3 N4 N5
80,380 120,819 120,753 36,218 6,760

 参考:図で見る日本語能力試験 | 日本語能力試験 JLPT

 選択肢2
 2018年度2回分の受験者数を見てみると、国内は364,930人、海外は644,144人で、確かに海外の方が多かったです。
 参考:過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPT

 選択肢3
 ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)とは、ヨーロッパの言語教育が共通の基準で行われるように定められた、言語能力の測定基準を示したものです。このCEFRを基準にしてJF日本語教育スタンダードという枠組みを作りました。そしてこのJF日本語教育スタンダードは、日本語能力試験やBJTビジネス日本語能力テストなどの難易度を決める際に基準となってます。
 だから日本語能力試験のレベルがCEFRに対応しているというのは間違い。CEFRとJF日本語教育スタンダードはA1~C2の6段階のレベルがありますが、JLPTはN1~N5の5段階です。
 参考:5.日本語能力試験(JLPT)との連関が知りたい
 参考:JFスタンダードとは

 選択肢4
 

すべての試験科目を受験して、①総合得点が合格に必要な点(=合格点)以上で、②すべての得点区分の得点が、区分ごとに設けられた合格に必要な点(=基準点)以上なら合格です。得点区分の得点が1つでも基準点に達していない場合は、総合得点がどんなに高くても不合格になります。
 - よくある質問 | 日本語能力試験 JLPTより

 したがって答えは2です。

 

問2 BJTビジネス日本語能力テスト

 選択肢1
 試験自体はほぼ毎日実施されており、CBT形式で行われます。ただし、試験は自宅ではできず、テストセンターでコンピュータを使って出題・解答を行います。

 選択肢2
 「結果は「合格/不合格」ではなく0~800点の点数(スコア)と、点数に応じたJ5~J1+の6段階のレベルで評価されます。」

 選択肢3
 記述式はありません。

 選択肢4
 測定する能力の対象は明記されていますが、出題基準はないようです。

 したがって答えは2です。

 参考:BJTビジネス日本語能力テスト



問3 「日本留学試験」の日本語科目

 日本留学試験の日本語科目で問われる能力として、直接的理解能力、関係理解能力、情報活用能力が挙げられています。
 したがって答えは1です。

 参考:日本語シラバス – JASSO

 

問4 主観テスト

 主観テストとは、明確な答えはなく、採点者の主観によって採点を行うテストのことです。作文、レポート、口頭試験など。
 逆に客観テストというものもあって、こっちは明確な正答が一つだけあり、採点者の主観による採点ができないテストのことを指します。

 選択肢1
 客観テストならその解答や正答率から問題の良否を統計的に判断できるでしょうけど、主観テストは主観で採点するし、しかも答えが一つじゃないしで統計的には判断できません。

 選択肢2
 主観テストは作文、レポート、口頭試験などの形式の試験で、限られた数の問題しか出題できません。そのため出題範囲も狭くなります。これは客観テストの特徴。

 選択肢3
 ここでいう信頼性とは、そのテストの結果が常に同様の結果を得られるかどうかの度合いのことです。主観による採点のため、信頼性は確かに低くなります。

 選択肢4
 主観によって採点を行うため、採点基準を一定に保つことは難しいです。これは客観テストの特徴。

 したがって答えは3です。

 

問5 学習者のニーズとそれに対応するテスト

 選択肢1
 OPI (Oral Proficiency Interview)とは、ACTFLが開発した外国語の口頭表現能力を測定するための試験です。タスクと機能、場面/話題、正確さ、テキストの型の4つの基準からレベルを判定します。受験者のレベルの下限と上限を見極めるために難易度を調整しながら行われるのが特徴で、30分間の試験ではインタビューやロールプレイなどを行います。「超級、上級、中級、初級」という4つの主要レベルがあります。
 口頭表現能力を測定するための試験なので、作文は書きません。作文能力のレベルを測定するには不適切です。
 参考:日本語OPI研究会

 選択肢2
 「高度人材ポイント制の加点対象となる日本語能力一覧」によると、日本語能力試験N1とBJT ビジネス日本語能力テスト480点以上の人には15ポイント、日本語能力試験N2とBJT ビジネス日本語能力テスト400点以上の人には10ポイント加算されるそうです。
 BJTはポイント稼ぎに良いですね!

 選択肢3
 SL対話型アセスメント(DLA)は学校において外国人児童生徒の日本語の能力を把握し,その後の指導方針を検討する際の参考になるものとして文部科学省が作成したものです。テストではありません。よってこれをもって会話能力を就職先に証明することもできません。
 参考:外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA:文部科学省

 選択肢4
 日本留学試験はウェブ上で受けることはできません。詳しくは下記の実施要項をご覧ください。
 参考:実施要項 – JASSO

 したがって答えは2です。

 




2023年8月26日令和元年度, 日本語教育能力検定試験