令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題8解説

問1 高コンテクスト・コミュニケーション

 コミュニケーション・スタイルの特徴や傾向とありますが、ここで述べられているのは高コンテクストか低コンテクストかです。

高コンテクスト文化 実際の言葉によりもその裏にある意味を察する文化のこと。重要な情報でも言葉に表わさず裏に隠して、相手に汲み取らせたり曖昧な言葉を使って表現する。世間一般の共通認識に基づいて判断したり、感情的に意思決定がなされる文化であり、いわゆる「空気を読む」ことが求められる。実際に発話された言葉は、会話の参与者の関係性、表情、状況、それまでの文脈などから判断して意味内容が変わり、特に日本はこの傾向がとても強い。
低コンテクスト文化 高コンテクスト文化とは逆に伝えたいことは全て言葉で説明する文化のこと。言葉以外や雰囲気で気持ちや情報を伝えることはせず、全て自らが発した言葉で表現する。この傾向が強いのはドイツ語圏とされており、またアメリカやカナダなどの歴史的に移民で成り立っている国にも多いとされてる。移民が多い国ではさまざまな考え方を持つ人々が集まっているため、文化ごとに異なる気持ちを汲み取るのではなく、分かりやすい言葉で伝えることが重視される。

 日本語は高コンテクスト・コミュニケーションの特徴を持っています。

 1 こういう話し方は低コンテクスト・コミュニケーションに多いです。
 2 必要な情報をしっかり話すのは低コンテクスト・コミュニケーションです。
 3 「察し」「婉曲的」などの言葉がポイントで、これが高コンテクスト・コミュニケーションです。
 4 コンテクストの高低とは関係ありません。

 したがって答えは3です。

 

問2 バーバル・コミュニケーション

 非言語コミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)とは、外見、身だしなみ、顔の表情、顔色、視線、身振り手振り、体の姿勢、相手との物理的な距離(対人距離)、呼吸などによって行われる、言語以外の手段によるコミュニケーションのことです。その研究分野から、身体動作学、近接空間学、パラ言語学(周辺言語学)の3つに分けられます。

身体動作学 身振り手振り(ジェスチャー)、表情、アイコンタクトなどの身体動作に着目した研究。
近接空間学 相手との距離の取り方に着目した研究。
パラ言語学/周辺言語学 言葉に付属して相手に伝えられるイントネーション、リズム、ポーズ、声質(声の大きさ、高さ、速さ、声色)、フィラーなどのパラ言語(周辺言語)に着目した研究。

 1 書き言葉はバーバル・コミュニケーション
 2 ノンバーバル・コミュニケーション(パラ言語学)
 3 ノンバーバル・コミュニケーション(身体動作学)
 4 ノンバーバル・コミュニケーション(近接空間学)

 したがって答えは1です。

 

問3 エポケー

 エポケーとは、異文化で問題が発生したときに、それを深刻に捉えることなく判断を一旦保留しておくことです。異文化関連の問題でよく出題される言葉なので、絶対覚えてください。

 「判断保留」という言葉がヒントになります。選択肢2はそれが含まれています。
 したがって答えは2です。

 ちなみに選択肢4はアサーティブ・コミュニケーション? これは次の問題で取り上げられてます。

 

問4 アサーティブ・コミュニケーション

 アサーティブ・コミュニケーションとは、お互いの意見を尊重しあうようなコミュニケーションのことです。
 平成26年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題11の文章中では「異なる意見を持つ相手に対して、攻撃することも卑屈になることもなく自分の考えを伝える」ような行動をアサーティブ・コミュニケーションを定義づけしてます。

 選択肢1の「相手に共感を示す」がそうですね。
 したがって答えは1です。

 

問5 カルチャー・アシミレーター

 カルチャー・アシミレーターとは、文化の違いを感じさせるエピソードに対する複数の解釈を通じ、人々の解釈の違いを学んでいく形式の異文化トレーニングの一つです。異文化で起きた問題の事例を読み、自ら原因を考え、自分の考えに合うものを選択肢から選びます。正しいものを選べなかった場合はその文化を考え直すきっかけになり、こうして異文化理解を深めさせます。

 1 これは何の異文化シミュレーション・ゲーム?
 2 バファバファです。異なる2つのグループにそれぞれの習慣や価値観を与えた後、お互いのグループを訪れることで異文化を体験するゲームです。
 3 これも何だろう?
 4 カルチャー・アシミレーター

 答えは4です。





2020年9月21日令和元年度, 日本語教育能力検定試験 解説