外国語教授法の変遷についてまとめ!

目次

 

 

オーラル・メソッドまでの流れ

 他の言語の存在を認識する必要のなかった時代から、大航海時代を経て外国語の存在を知るようになり、貿易や戦争などで他国との関係を持つために外国語が必要となった。そこで最初に生まれたのが文法訳読法だった。それ以前は外国語学習に関する研究がほぼ行われていなかったことから、文法訳読法は理論的基盤を持たない。

 

文法訳読法(Grammar Translation Method)

 学習者は教師が説明した文法規則を暗記し、文を母語に訳すことで理解していく教授法。授業では媒介語が用いられる。翻訳中心で口頭練習はほとんどしない。日本の中学校、高校での英語教育は、そのほとんどが文法訳読法。

 言語の背景には文化的側面が存在するが、文法訳読法ではその理解に限界があるという考え方から、19世紀後半ごろにダイレクト系メソッドやナチュラル・メソッドが登場した。言語を目標言語で学習することで、その言語の背景にある文化的な意味を理解しようとする流れとなる。

ナチュラル・メソッド
自然主義的教授法
(Natural Method)
幼児の母語習得過程を再現 ベルリッツ・メソッド
サイコロジカル・メソッド
ダイレクト系メソッド 媒介語を使用しない ベルリッツ・メソッド
サイコロジカル・メソッド(心理的)
フォネティック・メソッド(音声学的)
ダイレクト・メソッド(上記2つの折衷) ※1

 狭義のダイレクト・メソッドはサイコロジカル・メソッドとフォネティック・メソッドを合わせて開発され、フランスで公認教授法となったもの(※1)を指す。
 ただし、媒介語を使用する文法訳読法と媒介語を使用しない教授法を対比させたときに、後者をダイレクト・メソッドを呼ぶこともある。このようにすると、理論的基盤や指導法が異なっていても媒介語を使用しなければ同じダイレクト・メソッドと呼ぶことになってしまい、明確な区別ができなくなる。
 ここでは「ダイレクト・メソッド」はフランスで公認教授法となったものを指し、媒介語を使用しない教授法全般をダイレクト系メソッドと呼ぶ。
 

サイコロジカル・メソッド(Psychological Method)

 19世紀後半にグアン(Gouin)によって提唱された教授法で、文法訳読法では会話能力が身につかないとの批判から開発された。幼児の母語習得過程における心理面を重視している。言葉を聞いて頭にイメージ化させたり、教師が話しながら動作したりして、音と意味、概念の連合を作らせ習得させようとする。山口喜一郎が植民地時代の台湾で導入した。シリーズ・メソッド(Series Method)、グアン・メソッド、グアン式教授法とも呼ばれる。
 

ベルリッツ・メソッド(Berlitz method)

 ベルリッツ(Berlitz)によって提唱されたナチュラル・メソッドの教授法の一つで、音声を重視する教授法。レアリアや絵カード、身振り手振りなどを用い、音声と概念を直接結びつけ、その言語で言われたことをそのまま理解することを目標とする。
 

フォネティック・メソッド(Phonetic Method)

 文法訳読法と音声学を無視したグアン式教授法に対する批判から生まれた教授法。国際音声字母(IPA)の初版が制定されたことを受けて開発された。発音記号を使った発音練習をし、音と意味を直接的に連結させることが特徴的。音声の指導を重視。
 

ダイレクト・メソッド(Direct Method)

 サイコロジカル・メソッドもフォネティック・メソッドも行き詰まり、この2つを合わせたのがこの教授法。19世紀末期に出現し、1920年代まで全盛期となった。フランスの公認教授法となった。

 媒介語の使用を禁止することで教える際の効率が下がったことから、一部媒介語の使用を認めつつ、なるべく媒介語を使わないようにする折衷的な方法がとられた。それがハロルド・パーマー(H.E.Palmer)によって提唱されたオーラル・メソッドである。オーラル・メソッドはサイコロジカル・メソッド、フォネティック・メソッド、ダイレクト・メソッドの3つのダイレクト系メソッドを改良して開発された。

 

オーラル・メソッド(Oral Method)

 イギリスの言語学者ハロルド・パーマー(H.E.Palmer)によって提唱された教授法。サイコロジカル・メソッド、フォネティック・メソッド、ダイレクト・メソッドの3つのダイレクト系メソッドを改良して開発された。ナチュラル・メソッドと同じく幼児の母語習得過程を外国語学習に適用しつつ、それまで使っていなかった媒介語も必要があれば使ってもいいとした。

 
 

オーディオリンガル・メソッドへの流れ

 オーラル・メソッドの提唱と同時期、20世紀に入ると、スイスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュール(Ferdinand de Saussure)の登場により、構造主義言語学が主流となる。これは言語の構造に着目して理解を進めようとする立場で、ここから生まれたのがミシガン・メソッドとアーミー・メソッドである。

 

ミシガン・メソッド/オーラル・アプローチ(Oral Approach)

 文型や文法を集中的に口頭練習させる教授法。オーディオリンガル・メソッドのパターン・プラクティスの基礎となる授業テクニックが開発された。
 

アーミー・メソッド(Army Method)

 第二次世界大戦中にアメリカ兵士に対する外国語教育のために行った教授法で、会話能力の養成を特に重視する。アメリカ陸軍の陸軍特別研修プログラム(ASTP:Army Specialized Training Program)で採用された。ASTPでは20以上の言語が教えられており、日本語もそのうちの一つ。
 教官(言語学者)が英語で音声や文法について説明したり、両言語の比較分析などを行ったのち、兵士は日本人捕虜や日本からの移民と合宿体制を取る。ネイティブスピーカーを徹底的に模倣し、口頭練習が中心となる。授業以外の時間、宿舎でも英語の使用を一切禁止し、外国語を使用して生活することが義務付けられた。

 ネイティブスピーカーとの接触、目標言語との接触の多さによって成果を収め、口頭練習中心の教授法が広く認められるようになった。そして当時主流だった行動主義心理学の知見とアーミー・メソッドを組み合わせて、オーディオリンガル・メソッドが提唱された。

 

オーディオリンガル・メソッド(Audio-Lingal Method)

 戦後1940年代から1960年代にかけて爆発的に流行した教授法。アーミーメソッドの口頭練習の成果が評価され、音声中心の練習であるパターン・プラクティス(pattern practice)が生まれた。パターン・プラクティスやミムメム練習、ミニマルペア練習によって、目標言語を無意識かつ自動的、反射的に使えるようになることを目標とする。音声・文法の正確さと自然な発話速度を特に重視している。

 ※オーディオリンガル・メソッドとミシガン・メソッド、アーミー・メソッドは理論的基盤も練習方法も共通している部分が多いため、これら3つをまとめてオーディオリンガル・メソッドと称することもある

 パターン・プラクティス/文型練習(pattern practice)
 特定の文型を瞬間的かつ正確に扱える力を身に付けるため、文型の一部に指示した言葉を入れる練習のこと。よく使われるものを以下に挙げる。

代入練習
置換練習
ある文型の語彙や表現を、教師が提示した語彙や表現に入れ替える練習。
 「本」→「机に本があります」
 「ペン」→「机にペンがあります」
変形練習 教師が提示するキューに従って文型を変形させていく練習。
 「彼は泳ぎます」→「彼は泳げます」
 「私は英語を話します」→「私は英語を話せます」
応答練習 教師の質問やキューに対して、指定された文型を用いて答える練習。
 「釣りは好きですか? はい」→「はい、好きです。」
 「陶芸は好きですか?」→「いいえ、好きではありません」
結合練習 2つの文を1つにする練習。
 「テレビを見ます、ご飯を食べます」→「テレビを見ながら、ご飯を食べます」
拡張練習 教師が提示するキューに従って、言葉を繋げて拡張していく練習。
 「学校に行きます」「学校に行きます」
 「自転車で」「自転車で学校に行きます」
 「8時に」「8時に自転車で学校に行きます」
反復練習 教師が言った言葉をそのまま繰り返させる練習。
 「本」「本」
 「読みます」「読みます」
完成練習 教師が提示する文の不足した部分を学習者が補い完成させる練習。
 「ご飯を食べながら」「ご飯を食べながら、テレビを見ます」
 「ご飯を食べながら」「ご飯を食べながら、話をします」

 ミムメム練習/模倣記憶練習(mimicry and memorization practice)
 教師が口頭で示した文型や語彙を正しい発音で模倣、反復し、記憶する練習法。

 ミニマルペア練習/最小対練習/最小対立練習(minimal pair practice)
 亀/kame/と駄目/dame/のように、ある1つの音素の違いによって意味の変わるミニマルペア/最小対(minimal pair)を使い、その音の違いに集中させる発音練習のこと。

 
 

オーディオリンガル・メソッドと同時期に開発されたその他教授法

GDM/段階的直接教授法(Graded Direct Method)

 媒介語を使用しないダイレクトメソッド(直接教授法)の流れをくむ教授法の一つで、ハーバード大学のI.A.リチャーズにより考案された。学習者の負担を軽減するため、簡単な言葉から段階的に教えていく教授法。
 

コグニティブ・アプローチ/認知学習法

 認知記号学習理論(認知学習理論)を基盤とし、生成文法理論と認知心理学に影響を受けた教授法。演繹的な教育法をとり、人間の認知能力を利用して言語規則を理解させ、その上で言語習得のための練習する。
 

VT法/ヴェルボトナル法(Verbo-Tonal Method)

 言語聴覚論に基づいた教授法。リズムやイントネーションを重視し、身体リズム運動を活用するのが特徴。

 
 

オーディオリンガルへの批判と1970年代の独立系教授法

 1970年代に入り、オーディオリンガル・メソッドのミムメム練習やパターンプラクティス、ミニマルペア練習は機械的かつ意味を軽視しているため、実際のコミュニケーションには役に立たないという批判が出てきた。
 
 そして、チョムスキー(Chomsky)が提唱した、言語は模倣や反復による習慣づけで獲得されるものではないという生成文法理論(Generative Grammar Theory)によって、オーラル・メソッドやオーディオリンガル・メソッドはついに勢いを失った。それからは人間性心理学の影響を受け、学習者の認知能力を高め、また情意面にも配慮するようなTPR、サイレント・ウェイ、CLL、サジェストペディアなどの教授法が開発されることになる。
 
 これらはそれまでの教授法、指導法とは大きくかけ離れたもので、特別な設備や道具を必要とするため、一般に普及はしてない。(独立的な外国語教授法)

 

全身反応教授法/TPR(Total Physical Response)

 アッシャー(Acher)により提唱された教授法で、母語習得過程を応用して発話よりもまず聴解力を養成し、教師の指示に対して体を動かしながら言葉を口にする活動を行う。言葉と動作を同時に取り入れることで記憶に残りやすくなると考える。子供の英会話教室などで用いられることが多い。子供っぽいので成人には浸透しにくい。
 

コンプリヘンション・アプローチ(Comprehension Approach)

 アッシャーと同じく幼児の母語習得過程をモデルにし、とにかく聴解を中心とする教授法の総称。
 ビデオの教材や聴解練習だけに絞り、聴解能力が十分確立するまで発音練習や発話練習は行わない。そうすることで目標言語で発言することへの心理的圧迫を避ける。言語学習では、多くの言語インプットを浴びることが重要であるというインプット理論に基づいて開発された。
 

コミュニティ・ランゲージ・ラーニング/CLL(Community Language Learning)

 カラン(Curran)が提唱した、カウンセリング理論を外国語学習に応用して開発した教授法。カウンセリング理論は学習者が誤りを犯すことへの心理的な不安を和らげるために用いられる。また、不安軽減のため、媒介語の積極的な使用を認めている。カウンセリング・ラーニング/カウンセリング・ランゲージ・ラーニング(Counseling Language Learning)とも呼ぶ。
 教師がカウンセラー、学習者がクライアントとなり、丸く座って自分たちで決めたテーマについて外国語で話し、メンバー全体で課題を解決していく。カウンセラーは適切な援助をするにとどまる。
 

サイレント・ウェイ(Silent Way)

 ガッテーニョ(C.Gattegno)によって提唱された教授法。「真の習得は気づき(アウェアネス)なしには起こらない」という立場から、教師はできるだけ沈黙し、学習者自らが規則や体系を発見して学んでいくことを支援する教授法。ロッド、サウンド・カラー・チャート(色付きチャート)、ポインター(指示棒)などの独自の道具を用いて指導する。
 

サジェストペディア(Suggestopedia)

 ロザノフ(G.Lozanov)が開発した外国語教授法。学習者の不安や緊張などを取り除くために、教室はリラックスできるような環境作りに徹し、絵画や観葉植物が置かれ、光などにも配慮する。クラシック音楽を流しながら、さながらコンサートのような教室活動を行うのが特徴的。

 授業は以下の3部からなる。

プレセッション
(presession)
教師が会話を読み聞かせる
セッション
(session)
①前半 音楽を流し、リラックス、瞑想し、教師の読む会話を聞く
②後半 音楽に合わせながら感情を込めて読む会話を聞く
ポストセッション
(postsession)
ロールプレイ、ゲーム、何らかのテーマで会話、歌、四技能など一般的な活動を行う。

 
 

オーディオリンガルの衰退と1980年代の教授法

 それまではオーディオリンガル・メソッドのように文法、文型などの言語形式を重視したフォーカス・オン・フォームズの教授法だったが、言語形式の習得には役立ったものの意味の習得がうまくいかず、コミュニケーション能力は育たなかった。さらに学習者が退屈な様子を見せたり、それほど効果があげられないことからオーディオリンガル・メソッドへの不満が高まった。
 その後、ナチュラル・アプローチやコミュニカティブ・アプローチなどの意味の伝達を重視したフォーカス・オン・ミーニングの教授法が現れた。

 

ナチュラル・アプローチ(Natural Approach)

 1980年代初頭に注目され、テレル(T.Terrell)によって提唱された教授法。幼児の母語習得過程を参考にした聴解優先の教授法。クラッシェン(S.D.Krashen)のモニターモデルの緊張や不安のない状態で大量に理解できるインプットを与えれば言語習得が促進されるという仮説に基づき開発された。

 学習者が自然に話し出すまでは発話を強制せず、誤りがあっても不安を抱かせないために直接訂正しないなどの特徴がある。この点はコンプリヘンション・アプローチの考え方を引き継ぐ。発話が行われるまでの間は聴解練習のみ行われ、発話は強制されない。その間、教師の発話や動作、絵などから言語習得を進めていく。

 1980年代頃には、ハイムズ(D.Hymes)のコミュニカティブ・コンピテンスを論理基盤として、
コミュニケーション中心の教授法(CLT:Communicative Language Teaching)であるコミュニカティブ・アプローチが提唱された。コミュニカティブ・コンピテンスの4つの能力のうち、社会言語能力(言語表現の適切さ)を特に重視している。

 

コミュニカティブ・アプローチ(Communicative Approaches)

 それまでのダイレクトメソッドやオーディオリンガル・メソッドなどの非現実的な教授法を否定し、言語教育は現実的な場面を想定した会話の中で行われるべきという考え方から生まれた教授法。オーディオリンガル・メソッドとは異なり、母語話者並みの発音やスピードを求めず、正確さよりもコミュニケーション能力の育成を中心とする。概念・機能シラバスを用いた現実のコミュニケーションと同じような活動を教室で行い、その活動を通して文法や単語を身につけていくことを目標とする。また、インフォメーションギャップ(情報格差)、チョイス(選択権)、フィードバック(反応)の3つの要素がコミュニケーションの本質であるという考え方に基づき、これらの要素を盛り込んだ活動を行うのが特徴的。フォーカス・オン・ミーニング(言語の意味重視)の教授法。

インフォメーション・ギャップ
(information gap)
学習者同士の間にある情報の格差のこと。この情報の格差が学習者間のやりとりを促進する。
「机の上に何がありますか?」「本があります」というやり取りにはインフォメーション・ギャップがない。しかし、そこに衝立などを立てて机の上にあるものを隠し、学習者が質問して当てていくような形式にするとより多くのやり取りが生まれる。インフォメーション・ギャップはコミュニケーションの練習に役立つ。
チョイス/選択権
(choice)
タスクにおいて、どのような表現を用いるか、何を問うか、どう振る舞うかなどを選択する学習者に与えられた自由のこと。ゲームやロールプレイ、シミュレーション、プロジェクトワークのような活動で必要となる要素。
フィードバック(feedack) 相手の反応のこと。コミュニカティブ・アプローチでは、コミュニケーションの本質として活動に盛り込まれる。ゲームやロールプレイ、シミュレーション、プロジェクトワークのような活動で必要となる要素。

 
 

1990年代以降の教授法

 ナチュラル・アプローチやコミュニカティブ・アプローチのような意味の伝達を重視したフォーカス・オン・ミーニングの教授法では、確かに意味伝達はできるようになったが、言語形式が十分に習得せず、文法や文型の習得が中途半端のまま定着する化石化が起きた。フォーカス・オン・ミーニングの欠点である言語形式の問題を解決するため、意味伝達を重視するコミュニケーションを主体とした活動を行いながら、必要があれば形式面の指導もするフォーカス・オン・フォームが注目を浴びる。フォーカス・オン・フォームズの流暢さが身につけられない欠点と、フォーカス・オン・ミーニングの文法的な正確さが身につけられない欠点を互いに補うために考案された。
 この考えから1990年代以降には、オーディオリンガル・メソッドとコミュニカティブ・アプローチを組み合わせたタスク中心の教授法が開発された。タスク中心の教授法では実生活で現れる問題を扱い、より現実的な活動をする。

 

タスク中心の教授法/ タスク中心言語教育(TBLT:Task Based Language Teaching)

 1990年代以降に提唱された、オーディオリンガル・メソッドとコミュニカティブ・アプローチのお互いの長所を組み合わせ、欠点を補い合った教授法。必要に応じて言語形式にも注意を向けさせるFonFに基づく。「面接」「返品の電話をする」「友人にアドバイスする」など実生活に必要なタスクの中で実際に使われる言葉を使うことによって自然なコミュニケーション能力を身につけさせるもの。インフォメーション・ギャップによって参加者が持っている情報を引き出すタスクや、現実的な問題の解決策を探るタスク、オピニオン・ギャップによって意見を出し合い議論するタスクなどがある。

 近年はタスク中心の教授法に近い、内容重視の内容言語統合型学習(CLIL)も注目されている。

 

内容言語統合型学習(CLIL:Content and Language Integrated Learning)

 非母語で教科を学ぶことで、教科内容・語学力・思考力・協同学習の4つの要素をバランスよく育成する教育法のこと。Content(科目)、Communication(言語スキル)、Cognition(思考力)、Community(協同学習)、あるいはCulture(異文化理解) の「4つのC」によって授業を組み立てる。

 
 

教授法の分類

フォーカス・オン・フォームズ/FonFs (Focus on Forms)

 言語形式に焦点を当てた教授法のこと。教室において、教師が中心となり、文法規則等を最初から手取り足取り正確に教え込む方法をとる。機械的なドリル練習などを多用するが、文法的な正確さを重視しているため、かえって流暢さが身につかないとされている。オーディオリンガル・メソッドや文法訳読法などが代表的。
 

フォーカス・オン・ミーニング/FonM (Focus on Meaning)

 意味に焦点を当てた教授法のこと。学習者が中心となって多く聴き、多く読むのが特徴的だが、この時、教師による介入が完全に行われない。意味を重視することによってコミュニカティブに言語習得できるが、流暢さを身につけることはできても、文法的な正確さが身につかないとされている。ナチュラル・アプローチやイマージョン教育などが代表的。
 

フォーカス・オン・フォーム/FonF (Focus on Form)

 FonFsの流暢さが身につけられない欠点と、FonMの文法的な正確さが身につけられない欠点を互いに補うために考案された教授法のこと。コミュニケーションの中で文法的な知識を学習していこうという考え方に基づき、教室においてはFonMと同様に学習者が中心となるが、必要があれば教師は介入する。何らかのトピックやテーマを用いることで、言語形式そのものに焦点を置かずに意味中心とするが、教師によるプロンプトやリキャストでフィードバックを行うことにより、その中で学習者の注意が言語形式に向くような工夫がある。FonFsのように文法説明を始めたり、機械的なドリル練習をすることはなく、最終的には学習者の気付きによって文法知識の習得を促す。

FonFs(形式に焦点) 文法訳読法やオーディオリンガル・メソッド等、それまでの教授法
FonM(意味に焦点) ナチュラル・アプローチ
コミュニカティブ・アプローチ
FonF(形式と意味) タスク中心の教授法/ タスク中心言語教育
内容言語統合型学習/CLIL




2020年9月8日日本語教育能力検定試験 解説, 用語集