平成30年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題3解説
調音点や調音法については母音と子音の分類とIPA表記を参考にしてください。
1番
「び」が「ひ」になる誤りです。
「ひ」は[ç]無声硬口蓋摩擦音なので、鼻腔への通路を閉じ、舌を硬口蓋に接近させて発音します。
1 声門摩擦音では?
2 両唇鼻音
3 歯茎破裂音/歯茎破擦音
4 歯茎硬口蓋摩擦音
したがって答えはdです。
2番
「ら」が「な」になる誤りです。
「な」は[n]有声歯茎鼻音なので、鼻腔への通路を開け、舌で歯茎に触れて発音します。
1 歯茎破裂音/歯茎破擦音
2 歯茎鼻音
3 歯茎硬口蓋破擦音
4 軟口蓋鼻音
したがって答えはbです。
3番
「が」が鼻濁音の「が」になる誤りです。
鼻濁音の「が」は[ŋ]有声軟口蓋鼻音なので、鼻腔への通路を開け、舌で軟口蓋に触れて発音します。
1 声門摩擦音では?
2 硬口蓋鼻音
3 硬口蓋接近音
4 軟口蓋鼻音
したがって答えはdです。
4番
「じゅ」が「ゆ」になる誤りです。
「じ」は[dʑ]有声歯茎硬口蓋破擦音、「ゆ」は[j]有声硬口蓋接近音です。
調音点と調音法が異なります。
したがって答えはdです。
5番
「わ」が英語のvの発音である「ヴァ」になる誤りです。
「わ」は[ɰ]有声軟口蓋接近音、「ヴァ」は[v]有声唇歯摩擦音です。
調音点と調音法が異なります。
したがって答えはaです。
6番
「ちゃ」が「じゃ」になる誤りです。
「ち」は[tɕ]無声歯茎硬口蓋破擦音、語中の「じ」は[ʑ]有声歯茎硬口蓋摩擦音です。
声帯振動が伴っておらず、調音法も異なります。
したがって答えcです。
7番
「お」が「う」になる誤りです。
「お」は円唇後舌半狭母音、「う」は[ɯ]非円唇後舌狭母音です。
唇の丸めと舌の高さが異なります。
したがって答えはdです。
8番
「す」が「ず」になり、不要な声帯振動が伴う誤りです。
「す」は[s]無声歯茎摩擦音、「ず」は[z]有声歯茎摩擦音です。
したがって答えはbです。