平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題6解説

1番

 「作る結果」と言っていますが、ここでは「作った結果」というべきです。
 動詞「作る」のテンス形式に誤りがあります。

 テンス/時制 (tense)とは、述語の後ろに形態素を付加することによって時間を表す文法カテゴリーの一つ。日本語では、ル形が現在と未来を表し、タ形が過去を表す。
 参考:ヴォイス・アスペクト・テンス・モダリティについて - テンス/時制 (tense)

 ヴォイス/態 (voice)とは、述語の後ろに形態素を付加することによって動詞の形を変える文法カテゴリーの一つで、受身、自発、可能、使役などに関わる意味関係や文法関係の対応を示す概念のこと。動詞の表す行為を行為者側から見るか、行為の対象側から見るかで区別される。その際、動詞の形態が変わるのに合わせて格関係も変わる。
 参考:ヴォイス・アスペクト・テンス・モダリティについて - ヴォイス/態 (voice)

 したがって答えはcです。

 

2番

 「聞こえません」というべきところを「聞きません」と言っています。原形は「聞こえる」と「聞く」ですから、動詞の選択を誤っています。
 したがって答えはaです。

 

3番

 「~だ」は名詞の後ろに接続されます。「黄色いだ」は、黄色いと名詞だと思っているために起きている誤用です。
 したがって答えはaです。

 

4番

 「持たないで」が「持たなくて」になっています。これは付帯状況を表す「~ないで」を使えないことによる誤用です。

 付帯状況とは、ある動作をするにあたって、それに付属する何らかの状態や条件のことです。「財布も持たずに出かける」において、「財布も持たず」が「出かける」ときの付帯状況です。

 したがって答えはbです。

 

5番

 「シェークスピアによって描かれました。」というべきです。
 受身文で歴史上の事実や規定事実を客観的に伝えるときの動作主は「によって」を使わなければいけません。
 参考:【N3文法】~によって/によっては/により/による

 したがって答えはdです。

 

6番

 「申します」も「申し上げます」もいずれも自分の動作ですので謙譲語です。更に分類すると、「申す」は謙譲語Ⅱ、「申し上げる」は謙譲語Ⅰです。この2つが混同しています。

 したがって答えはdです。

 

7番

 助詞「を」が「に」になる誤りです。
 「この道を渡って」の「を」は通過点や経路を表します。

 したがって答えはaです。

 

8番

 「書いていただけませんか?」を「お書きになりませんか?」と言う誤りです。依頼するつもりが、勧めの表現になっています。

 したがって答えはbです。




2022年9月22日平成29年度, 日本語教育能力検定試験