連体詞、副詞、イ形容詞、ナ形容詞について
連体詞とは…
連体詞とは、それ自体に活用はなく、必ず体言を修飾して説明する語のことです。現代で一般的に用いられる連体詞は語末が「た・な・が・の・る」で終わる5つに分類されます。それ以外は連体詞ではないと覚えると分かりやすいのですが、この分類方法だけだと「大きな/いろんな」などの例外もあります。確実に見分けるためには以下の3つに注意しなければいけません。
① 「た・な・が・の・る」で終わるもの
② 活用しない
③ 後には名詞しか接続されない
①「た・な・が・の・る」で終わるものは連体詞
連体詞の種類 | 例 |
---|---|
「~た」型 | たいした、とんだ、ふとした、たいそれた、れっきとした… |
「~な」型 | 大きな、小さな、おかしな、いろんな、ひょんな、あじな、ろくな… |
「~が」型 | わが、われらが… |
「~の」型 | この、その、あの、どの、例の、かの、くだんの、ほんの、当の… |
「~る」型 | ある、あらゆる、いわゆる、かかる、いかなる、さる、とある、きたる、あくる、なんたる、さしたる、確たる、最たる、主たる、名だたる、単なる… |
②連体詞は活用しない
(1) 静かな部屋
(2) 大きな窓
(3) いろんな方法
この3つの文の中で連体詞を含むものはどれかという問いに対し、①「た・な・が・の・る」で終わるものは連体詞という知識だけでは答えが得られません。連体詞はそれ自体で活用はしないので、一度全てを適当に活用させてみると分かりやすくなります。
(1’) 静かな → ◯ 静かである(形容動詞)
(2’) 大きな → ✕ 大きである(連体詞)
(3’) いろんな → ✕ いろんである(連体詞)
例えば「静かな」を「静かである」のように活用してみると、「な」の部分が「である」に変化していることが分かりました。この変化を他の文にも適用してみると(2’)と(3’)は変な言い方になってしまいました。連体詞は活用できないという特徴があるので、(2)(3)は連体詞を含まない文だと分かります。
③連体詞の後には名詞しか接続されない
(4) おかしい人
(5) おかしな動き
(4)も(5)も後ろには名詞が接続されていますので見かけ上はどちらも連体詞に見えますが、後ろに名詞以外が接続できるかどうか試してみるとはっきり分類できます。
(4’) おかしい → ◯ おかしいです(形容詞)
(5’) おかしな → ✕ おかしなです(連体詞)
(5)は非文になってしまいましたので連体詞だということが分かりました。形容詞も形容動詞も単独で述語になれますが、連体詞はなれません。これが最大の違いであると言えます。
副詞とは…
副詞とは、単独で活用はせず、動詞、形容詞、形容動詞などの用言を修飾する語のこと。様態副詞、程度副詞、陳述副詞に分けられる。
様態副詞(情態副詞)
動詞を修飾し、その動作がどのように起こったかを表すもの。擬態語、擬音語、擬声語、一部の畳語もこれに含まれる。そのうち、動きの量や人の量などを表す副詞を量副詞と分類することもある。
ゆっくり、急いで、早く、こそこそと、さっと、ゆらゆらと、ぴかぴかと、いつも、たまに、まれに、よく、ときどき、頻繁に、休み休み…
程度副詞
副詞のうち、状態性の語を修飾してその程度を表すもの。
たいへん、とても、すごく、かなり、ちょっと、だんだん、どんどん、やや、もっと、少し、ずいぶん、めっきり、けっこう、なかなか、ずっと、はるかに、ますます、だいぶ…
陳述副詞
話し手の伝達的態度や事態に対する認識、評価を表すもの。否定、推量、否定推量、疑問、依頼・願望、仮定、比況などの表現で述語の陳述に呼応して用いられる。
肯定 | きっと(~だ)… |
---|---|
否定 | 決して(~ない)、必ずしも(~とは限らない)、たいして(~ない)、ちっとも(~ない)、ろくに(~ない)、めったに(~ない)、全然(~ない)、到底(~ない)、いまだ(~ない)… |
推量 | きっと(~だろう)、おそらく(~だろう)、たぶん(~かもしれない/だろう)、さぞ~(だろう)… |
否定推量 | まさか(~ないだろう)、よもや(~あるまい)… |
疑問 | なぜ(~か)、どうして(~か)、はたして(~か)、いったい(~か)… |
依頼・願望 | どうぞ(~ください)、どうか(~ください)、ぜひ(~ほしい) |
仮定 | もし(~なら)、万一(~でも)、仮に(~でも)、たとえ(~でも)、いくら(~でも)、あたかも(~のごとく)… |
比況 | まるで(~ようだ)、さも(~よう)、あたかも(~よう)… |
禁止 | 決して(~な) |
形容詞とは…
形容詞とは、物や人の属性や性質・状態を表す語のことです。イ形容詞とナ形容詞の総称で、物の性質や状態を表す属性形容詞と、人の主観的な感情や感覚を表す感情形容詞の2種類に分けられます。感情形容詞は主観的な感情や感覚を表す性質上、主語は一人称のときしか使うことができない制約があります。形容詞は、日本語教育においては「い形容詞」とも呼ばれています。
形容詞の種類 | 例 |
---|---|
属性形容詞 | 大きい体、体が重い、明るい光、高い場所、小さい手、短い棒、新しい話、黄色い花、汚い部屋、長い髪、静かな部屋… |
感情形容詞 | 私は悲しい、高所が怖い、脚が痛い、光が眩しい、とても眠い、美味しいご飯を食べた、彼が嫌い、良い人だと思う、不安、得意… |
イ形容詞とは、名詞を修飾するときに「~い」の形をとる語のことです。自立語で活用することができ、単独で述語になります。
ナ形容詞とは、名詞を修飾するときに「~な」の形をとる語のことです。自立語で活用することができ、単独で述語になります。学校文法では形容動詞、日本語教育ではナ形容詞と呼ばれます。
語幹 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
普通形 | -だろ | -だっ-て-に | -だ | -な | -なら | - |
丁寧形 | -でしょ | -でし | -です | -です | - | - |
まとめ
問題 【 】部分の品詞名を答えなさい。
(1) 世の中には【いろんな】人がいる。
(2) 思っていたほど【綺麗】ではなかった。
(3) 【いかなる】ときも希望を捨てない。
(4) ご飯を食べたら【すぐに】眠くなってしまう。
(5) 昨日食べたクリスマスケーキが【美味しかった】。
(1)【いろんな】
「たながのる」で終わる言葉は連体詞、後ろに名詞が接続するときに「な」が挟まるのが形容動詞なのでこの2つの可能性が残る。形容動詞は活用できるが、連体詞は活用できないので、「いろんな」は連体詞。
(2)【綺麗】
後ろに名詞を接続してみると「綺麗な人」のように「な」が挟まるので、「綺麗」は形容動詞。
(3)【いかなる】
活用もできず、語末は「る」で後ろには名詞が接続されているので連体詞。
(4)【すぐに】
「すぐに」には活用がなく、後ろには動詞「眠くなる」が接続されているので副詞。
(5)【美味しかった】
「美味しかった」は既に活用されていて、原形は「美味しい」。語末は平仮名の「い」で終わっているので形容詞。