2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題13解説

問1 共同発話

 共同発話とは、話者同士で1つのまとまりを持つ発話を作り上げること。日本語の母語話者同士の会話でよく見られる。その性質から、先取り発話割り込み発話に分けられる。

 1 返事として変です。
 2 相手の発話を想定して「嫌ですよね」と割り込んでいます。
 3 共同発話ではありません。
 4 相槌

 したがって答えは2です。

 

問2 繰り返し

 共同発話の繰り返しとは、以下のようなものを表します。

A:今日は寒いね
B:そうだね、寒いね

 選択肢1
 結束性 (cohesion)とは、文と文の間に文法的・語彙的な結びつきがあること。「庭に少年がいる。彼は何かを探しているようだ。」の文では、少年と彼は同じ人物を指している。このような時、1文目と2文目には指示詞による結びつきがあるため、正しく理解することができるようになる。
 繰り返された表現は2つの発話の結束性を示すことができますが、繰り返しているだけに強調することもできます。

 選択肢2
 上記の「寒いね」のように相槌の代わりにもなりますし、相手の会話内容の確認にもなります。

 選択肢3
 繰り返しは会話の継続を促すことができます。

 選択肢4
 正しいです。繰り返しによって相手に対する共感を示せますが、繰り返しているだけなので新情報を提示することはできません。

 したがって答えは4です。

 

問3 形式上は問題はなくても聞き手に違和感を与える表現

 選択肢3は聞き手に違和感を与える表現です。
 同意を求める「~じゃないですか」は、自分のことをよく知っている人に対して用いる表現です。初対面の人に使うと不自然です。
 したがって答えは3です。

 

問4 ダイバージェンス

 アコモデーション理論 (Accommodation Theory)とは、ジャイルズ (Giles)によって提唱された、相手によって自分の話し方を変える現象を説明するための理論。相手の言語能力によって話し方を変えるフォリナートーク、赤ちゃんに対する話し方のベビートーク、世代間のギャップを無くそうとわざと若者言葉を使って年下の人々に受け入れられようとすることもその一種。その性質からダイバージェンスとコンバージェンスに分けられる。

 言語的収束/コンバージェンス (convergence)とは、アコモデーション理論のうち、自分の話し方を相手の話し方にできるだけ近付けていくこと。上司が部下に受け入れられるために若者言葉を使ったりすることなどがこれにあたる。

 言語的分岐/ダイバージェンス (divergence)とは、アコモデーション理論のうち、自分の話し方を相手の話し方からできるだけ離していくこと。関西圏でも共通語を使おうとすることなどがこれにあたる。

 1 子どもに合わせているので、コンバージェンスです。
 2 方言を頑なに使っているので、ダイバージェンスです。
 3 若者に受け入れてもらうために若者言葉を使っているので、コンバージェンスです。
 4 他の学生の言い方に合わせて自分の言い方を変えているので、コンバージェンスです。

 したがって答えは2です。

 

問5 会話の指導

 1 逆だと思います。母語話者の方が当然相槌が多いはずです。
 2 独自の創作したものも教科書のモデル会話も扱った方がいいです。ただし教科書のモデル会話を忠実に再現する必要はありません。
 3 発音や文法は正確にできるに越したことはないですが、会話では文法などよりもコミュニケーション能力や意思疎通のほうが重視されます。完璧を目指す必要はありません。また、日本人らしく話させる必要もありません。
 4 正しいです。

 したがって答えは4です。

 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説