2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題5解説

問1 ウォームアップ

 授業は最初にウォームアップを行うと文章中に書いています。ウォームアップは運動で言えば準備体操にあたりますが、授業では前回の復習や教室の雰囲気作りなどがこれにあたると思います。(私はいつもそうしているので…) 授業の流れは前作業本作業後作業だと思っていましたが、前作業の前にウォームアップがあるようです。

 1 新出の単語を多く使うのは本作業ではないでしょうか。
 2 目標の学習文型は本作業で扱います。
 3 発話させ訂正するのは本作業です。
 4 正しいです。

 したがって答えは4です。

 

問2 文型導入

 1 正しいです。やり取りは双方向的なほうが良いです。
 2 誤りです。説明から入るよりも、状況を提示して意味を推測させるほうが有意義な授業になります。
 3 正しいです。新出の語彙もあり、新出の文型もありだと文型に集中できなくなるかもしれません。
 4 正しいです。状況を設定しておけば、文型の意味を状況から推測したり、どんな場面で使うべきかも学ぶことができます。

 したがって答えは2です。

 

問3 拡張練習

 パターン・プラクティス/文型練習 (pattern practice)とは、特定の文型を瞬間的かつ正確に扱える力を身に付けるため、文型の一部に指示した言葉を入れる練習のこと。代入練習、変形練習、応答練習、拡張練習などがある。

代入練習 ある文型の語彙や表現を、教師が提示した語彙や表現に入れ替える練習方法のこと。
変形練習 教師が提示するキューに従って文型を変形させていく練習方法のこと。
応答練習 教師の質問やキューに対して、指定された文型を用いて答える練習方法。
拡張練習 教師が提示するキューに従って、言葉を繋げて拡張していく練習方法のこと。

 1 応答練習
 2 代入練習
 3 拡張練習
 4 変形練習

 したがって答えは3です。

 

問4 応用練習

 1 正しいです。
 2 ”応用”練習でモデル会話を繰り返し復唱させるのは不適切です。
 3 役割や場面を設定して行う活動こそ応用練習で行うべきです。
 4 学習者間の会話能力に差がある場合こそ、インフォメーションギャップが有効だと思います。

 したがって答えは1です。

 

問5 授受表現の誤用

 授受表現に関する誤用

 選択肢1
 「東京にもやっと春が来てもらった」は、「くれる」と「もらう」の混同による誤用です。

 選択肢2
 「先生にお土産を差し上げました」というべきです。謙譲語の一般的な作り方のルールとは「お/ご+動ます形+する」のことで、お預かりする、ご案内するなどがこのルールに従って作られた謙譲語です。しかし、あげる、もらうを始め、行く、来る、言う等々の一部の動詞はこのルールで謙譲語を作ることができず、それぞれ独自の動詞を持っています。「あげる」は「差し上げる」、「もらう」は「いただく」、「行く」は「参る/伺う」などです。この問題の誤用は、専用の謙譲語がある「あげる」に一般的なルールを適用したことによる誤用といえます。

 選択肢3
 「休ませていただけませんか」というべきです。「休ませていただきませんか」は「休ませて」と使役形を用いていますが、「休ませて」の部分は誤りではありません。

 選択肢4
 「もらう」は受け取り手(私)が主語になり、「くれる」は与え手が(タクシー)が主語になります。「タクシーを呼んだらすぐに来てもらった」は前件も後件も「私」が主語なので、主語が同じことによる誤りです。

 したがって答えは2です。

 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説