2019年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題10解説

問1 エラーとミステイク

ミステイク エラー
エラー ミステイク
ローカルエラー グローバルエラー
グローバルエラー ローカルエラー

 エラー/誤り (error)とは、言語能力が不足していることによって起きる誤用のこと。誤りの程度によってグローバル・エラーとローカル・エラーの2つに分けられ、その原因によって言語間エラー、言語内エラー、プラグマティック・トランスファーの3つに分けられる。

 グローバルエラー/全体的な誤り (global error)とは、エラーのうち、相手とのコミュニケーションに大きな支障が出るエラーのこと。

 ローカルエラー/局部的な誤り (local error)とは、エラーのうち、相手とのコミュニケーションに影響が少ないエラーのこと。

 ミステイク (mistake)とは、ついつい間違ってしまったというタイプの誤用のこと。本人もその間違いにすぐ気づいて訂正することができる。

 したがって答えは2です。

 

問2 中間言語

 1 定着化 (stabilization)
 間違いのない言語使用ができるようになることを指す。

 2 習得順序
 複数の文法項目の習得される順序のこと。

 3 中間言語
 第二言語学習過程における発展途上にある言語体系のこと。母語の影響を受けながらも、徐々に目標言語に近づいていくものとされる。セリンカー (Selinker)が提唱した概念。また、この徐々に目標言語に近づいていく性質を可変性 (variability)と呼ぶ。

 4 素朴概念
 学習以前の日常の経験に基づいた知識や概念のこと。例えば、物理を学習する前に人は経験に基づいた運動の概念を獲得しており、これが素朴概念にあたる。自分なりに考えて得られたもののため、科学的概念とは異なった誤りのある状態で概念が形成されていることが多い。
 科学的概念とは、客観的な仮説検証によって構成された一貫性のある概念のこと。
 (素朴概念は23年度以降初めて出題された用語です。)

 したがって答えは3です。

 

問3 精緻化リハーサル

 リハーサル (rehearsal)とは、インプットされた情報を忘れないようワーキングメモリ上にとどめておいたり、長期記憶に転送するために用いる方法のこと。維持型リハーサル(維持リハーサル)と精緻化リハーサルに分けられる。

 維持型リハーサル/維持リハーサル (maintenance rehearsal)とは、インプットされた情報を忘れないようワーキングメモリ上にとどめるための方法のこと。忘れないように何度も復唱したり、口ずさんだりすることなどが挙げられる。

 精緻化リハーサル (elaborative rehearsal)とは、インプットされた情報を長期記憶に転送するための方法のこと。インプットされた情報を長期記憶に貯蔵されている既有知識と関連付けたり、関連する場面や状況をイメージしたりすることが挙げられる。

 1 維持型リハーサル
 2 精緻化リハーサル
 3 精緻化リハーサル
 4 精緻化リハーサル

 したがって答えは1です。

 

問4 ビリーフ

 1 ステレオタイプ (stereotype)
 多くの人に浸透している、特定の集団に対する先入観や思い込み、固定観念のこと。「眼鏡をかけてる人は勉強できる」や血液型占いなどがこれにあたる。ここに否定的な評価や感情が加わることで「◯◯人は✕✕だ」のような偏見になり、行為が伴うことで差別が生じる。

 2 ラポール (rapport)
 2人の人の間にある相互信頼の関係のこと。

 3 ビリーフ/学習ビリーフ (belief)
 信念。どのようにすれば言語を習得できるかという考え方のことを指す。

 4 認知スタイル (cognitive styles)
 情報の知覚、符号化、体制化、記憶などに対して個人が一貫して示す方法のこと。教師は学習者の認知スタイルによって教え方を変えることで学習効率を高めることができる。
 参考:認知スタイルとストラテジーについて - 認知スタイル (cognitive styles)

 したがって答えは3です。

 

問5 情意フィルター仮説

 情意フィルター仮説 (The Affective Filter hypothesis)とは、学習者の言語に対する自信、不安、態度などの情意面での要因がフィルターを作り、接触するインプットの量と吸収するインプットの量を左右するという仮説。モニターモデル (Monitor Model)を構成する仮説の一つ。

 ちなみに選択肢4は認知スタイルの「衝動型 (Impulsivity)」の説明です。

 したがって答えは4です。

 





2019年度, 日本語教育能力検定試験 解説