日本語の修辞法について

 ここでは15ほどの修辞技法について説明しています。その他の表現法も多くありますが、比較的よく用いるものや代表的なものを集めました。

 

修辞法/レトリック (rhetoric)

 言語表現を豊かにするための技法のこと。

 

☆☆☆ 倒置法 (inversion)

 通常の語順を入れ替えて、意味や印象を強調する表現法。通常は後ろに置かれた要素を強調する。文学や広告などの感情に訴えかける文章ではよく用いられるが、客観性が求められる論文やレポートなどでは用いられない。通常の文が続くと単調になるため、所々適切な箇所で倒置法を用いると文章が魅力的になる効果が期待できる。

 (1)通常の文「あなたはそこで何をしているの。」(你在那干嘛呢?)
    倒置法「そこで何をしているの。あなたは。」(在那儿干嘛呢,你?)

 (2)通常の文「君のことを信じているよ。」(我相信你。)
    倒置法「信じているよ。君のことを。」(我相信的人是你。)

 (3)通常の文「財宝の在り処をやっと見つけた。」(我终于找到了宝藏的下落!)
    倒置法「やっと見つけた。財宝の在り処を。」(宝藏的下落,我终于找到了!)

 (4)通常の文「早く起きろよ!」(快点儿起床!)
    倒置法「起きろよ、早く!」(起床,快点儿!)

 (5)通常の文「だからさっきダメだって言ったでしょ!」(我刚才不是说了么 不行!)
    倒置法「だからダメだって言ったでしょ!さっき。」(不是说了么不行,刚说!)

 

☆☆☆ シミリー/直喩 (simile)

 「~みたいな」「~のような」「~の如く」等を使って直接別のものに喩える比喩の一種。「まるで~ようだ」「まるで~みたいだ」「あたかも~ようだ」「あたかも~みたいだ」「~如し(ごとし)」等の文型を取る。

 (1) わたあめみたいな雲が浮かんでいる。
    (云朵像棉花糖一样飘着。)
 (2)彼女はのような形相で怒っている。
    (她生气了,露出像魔鬼一样的样子。)
 (3)の如く汗が流れてくる。
    (像瀑布一样汗流不止。)
 (4)みたいに羽が生えたら自由に空を飛べるのに。
    (如果像鸟儿一样长着翅膀的话,就能在天空自由的飞翔了。)
 (5)彼がいない夏休みなんて真夏のスキー場みたいなものだ。
    (没有他的暑假就像是盛夏的滑雪场一样。)

 

★★☆ メタファー/隠喩 (metaphor)

 物事のある側面から連想した類似性に基づく具体的なイメージを用いて、抽象的な物事を表す比喩の一種。「~みたいな」「~のような」は用いない。例えば、「頭が真っ白になる」の「真っ白」は何も書かれていない紙や何もない真っ新な状態を指しており、それが頭の中で何も考えられなくなった状態と類似していると考える。この二つの状態の類似性を利用することによって、思考が止まって呆然としてしまう抽象的な状態を表現している。

頭がショートする、足が棒になる、記憶が飛ぶ、画面が凍る、月見うどん、たい焼き、パンの耳…

 (1)頭が真っ白になる
    (因为吃惊)大脑一片空白。
 (2)足がになる
    双腿(累得)像是棍子一样,无法动弹。
 (3)記憶が飛ぶ
    突然失忆(原本记着的东西突然想不起来。)
 (4)画面が凍る
    画面不动了(用于电脑或手机,因为操作频繁等原因死机。)
 (5)パンの
    面包边儿(因为耳朵是在头部的两侧。所以面包边角的部分叫做面包的耳朵。)
 (6)彼はこの会社にいなければならない存在で、今では社長の右腕だ。

 (7)私にとってあなたは輝く星だ。

 (8)彼はの肉体を持っている。

 (9)あいつはだ。走るのが遅すぎる。

 (10)冬になると乾燥がひどくて肌が砂漠になる。

 

★★☆ メトニミー/換喩 (metonymy)

 様々な概念の隣接性に基づいて物事を表す比喩の一種。換喩には入れ物で中身を示すものや、結果で原因を表すものなどの様々なパターンがある。

関係性
建物や地名で関係することを表す ホワイトハウスの声明/永田町の常識/広島、長崎を忘れない
特徴的な属性で人を表す 白バイに捕まった/パトカーに捕まった
入れ物で中身を表す やかんが湧いた/隣の部屋がうるさい
結果で原因を表す あくびが出る(眠いからあくびが出る)/筆を執る/耳を傾ける/ユニフォームを脱ぐ
人で物を表す バッハが好き、米津玄師を聴いた

 (1)ホワイトハウスの声明(白宫的声明)
    白宫本身是建筑物不会说话,但是住在白宫里的是美国总统,所以虽然写着是白宫,但是大家会认为是来自总统的声明。

 (2)パトカーに捕まった(被警察抓住了)
    パトカー是警车的意思,是パトロールカー的缩略语。英语写作patrol car。警车不会抓犯人,但是警车是警察开着的,所以会自然理解为被警察抓住了。

 (3)隣の部屋がうるさい(隔壁好吵!)
    意思是隔壁的人制造出来的声音好吵。

 (4)あくびが出る(打哈欠(困了))
    以结果暗示原因。因为困了(原因),所以会打哈欠(结果)。

 (5)最近よく米津玄師を聴く(最近经常听米津玄师的歌)
    用人物来暗示事物。我们听的不是米津玄师这个人,而是他所创作的音乐。

 

★☆☆ シネクドキー/提喩 (synecdoche)

 上位概念を下位概念で、また下位概念を上位概念で言い換える比喩の一種。例えば、「式を挙げる」の「式」は葬式でも儀式でもなく結婚式を指し、「式」という上位概念で下位概念の「結婚式」を表している。

(1)親子丼を食べる。(吃亲子饭。)
   亲子,上位概念,指家长和孩子。例句的亲子指的是鸡肉和鸡蛋,属于下位概念。在例句中,是用上位概念亲子、指代下位概念鸡肉和鸡蛋。

(2)焼き鳥を食べる。(吃烤鸡肉串。)
   鳥属上位概念,指鸟类。例句里的鳥指的是鸡(鶏),鸡属下位概念。虽然鸟有很多种,这里指的是鸡。在例句中,是用上位鳥、概念指代下位概念鸡。

(3)花見に行く。(赏樱花。)
   花是总称,上位概念。例句里的花,在这里特指樱花,属下位概念。在例句中,是用上位概念花、指代下位概念樱花。

(4)今日の彼はいつもよりご機嫌だ。(今天的他比往常心情好。)
   機嫌,属中性词,即可用于褒义(機嫌がいい,心情好),也可用于贬义(機嫌が悪い,心情不好)。機嫌虽属于上位概念,但是在例句中只表达作为下位概念褒义的意思。在例句中,是用上位概念 機嫌、指代下位概念 機嫌がいい。

(5)彼の絵は海外で評価されている。(他的画在海外受到好评。)
   評価,属中性词,即可用于褒义(評価がいい,评价好),也可用于贬义(評価が悪い,评价不好)。評価虽属于上位概念,但是在例句中只表达作为下位概念褒义的意思。在例句中,是用上位概念 評価、指代下位概念 評価がいい。

(6)明日、お天気だったら遊園地へ行こう。(明天天气好的话,我们去游乐园吧。)
   天気,属中性词,即可用于褒义(天気がいい,天气好),也可用于贬义(天気が悪い,天气不好)。天気虽属于上位概念,但是在例句中只表达作为下位概念褒义的意思。在例句中,是用上位概念 天気、指代下位概念 天気がいい。

 

☆☆☆ 擬人法 (personification)

 人ではない動物や植物、生命のない物事を人にたとえ、あたかも人間の特徴を持っているかのように扱う表現のこと。

 (1)スマホが死んだ
    手机坏了。
 (2)空が泣いている
    天空在哭泣。(下雨了)
 (3)膝が笑う
    膝盖在颤抖。(精疲力尽膝盖不听使唤得颤抖。)
 (4)グーグル先生聞く
    问一下谷歌。(上谷歌搜索一下)
 (5)幸せは歩いてこない
    幸福不会来造访。
 (6)鳥たちが歌い、外は賑やかだ。

 (7)雨が街を洗い、霧に包まれた。

 (8)月が私たちを見守っている

 (9)風が私の頬を撫でる

 

★☆☆ 声喩法 (onomatopoeia)

 人や動物、自然界の状態や動き、音を文字で表す表現法。オノマトペとも呼ばれる。擬態語、擬音語、擬声語の総称。

分類 説明
擬態語 人や動物、自然界の状態や動き、音を文字で表現した語(オノマトペ)のうち、実際には聞こえない、物や人の状態や感情を文字で表現したもの。
擬音語 人や動物、自然界の状態や動き、音を文字で表現した語(オノマトペ)のうち、実際に聞こえる音を文字で表現したもの。
擬声語 実際に聞こえる音を文字で表現した擬音語のうち、擬音語のうち、人や動物の声を表したもの。

 (1)緊張でドキドキする。
    紧张得心脏怦怦跳个不停。(ドキドキ是指听不到的心脏跳动的声音。)
 (2)雷がゴロゴロと鳴り響いた。
    雷声隆隆地响。(ゴロゴロ是将雷声文字化)
 (3)犬がワンワン吠えている。
    狗汪汪地叫着。(ワンワン将狗叫声文字化)
 (4)赤ちゃんがギャーギャー泣いている。
    婴儿呱呱地哭。(ギャーギャー是将婴儿的哭声文字化)
 (5)水をゴクゴク飲む。
    咕嘟咕嘟地喝水。(ゴクゴク是将喝水时喉咙发出的声音文字化)
 (6)小鳥がチュンチュンと鳴いている。

 (7)風車がグルグル回っている。

 (8)雨がザーザー降っている。

 

☆☆☆ 省略法 (ellipsis)

 「…」や「――」などで文章や会話の一部を省略して、読者に続きを想像させる表現のこと。余韻を感じさせることができる。

 (1)彼は万引きが日課となってる。そして今日もまた――
    (他现在偷东西已经成为日常,今天又――
 (2)彼の秘密とはいったい…
    (他的秘密到底是――
 (3)坂を越えたら、また坂が…
    (刚爬过一个坡,紧接着前面又――
 (4)結婚をし、ついに待ち望んだ子供が――
    (结婚后,期盼已久的孩子终于――
 (5)まさかそんなことになるとは…
    (会发生这种事,真是没想到――)

 

☆☆☆ 対句法 (anthithesis)

 同じ構造を持った対照的な意味を表す言葉を二つ並べ、その意味的なコントラストを際立たせる表現法。

 (1)沈黙は金、雄弁は銀
    (沉默是金,雄辩是银。)
 (2)空は高く、海は深い
    (天高海深。)
 (3)青い空、白い雲
    (蓝天白云。)
 (4)春、君に出会い、秋、君と別れる。
    (春遇秋别。)
 (5)太陽は眠り、月は目覚める。
    (太阳睡了,月亮醒来了。)
 (6)彼は合格し、私は落ちた。

 (7)妻は寒がり、私は暑がりだ。

 (8)おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。

 (9)勝者は希望を売り、敗者は希望を買う。

 (10)知恵はあっても知恵はない。

 

☆☆☆ 反復法 (repetition)

 同じ表現を繰り返し並べ、その意味を強調したり、リズムを表す法。詩歌で用いられるものはリフレインと呼ばれる。

 (1)空は青く、青く澄み渡っている。
    (天很蓝,万里无云的蓝。)
 (2)本当に、本当に疲れた。
    (我真的,真的累了。)
 (3)もう一度、もう一度だけ会いたい。
    (想再见一次,就一次。)
 (4)蛙がピョンピョン跳ねている。そう、ピョンピョンと。
    (青蛙一蹦一蹦地跳着,对,就是一蹦一蹦地。)
 (5)やっと、やっとだ。やっと手に入れた。
    (终于,终于弄到手了!)

 

☆☆☆ 体言止め

 強調したい体言(名詞や名詞句)が文末に置かれた表現のこと。余韻を感じさせることができる。

 (1)月が輝き、僕たちはそれに照らされている。(月光皎洁,我们沐浴其中。)
    → 輝く、それに照らされる僕たち(皎洁的月光,还有沐浴其中的我们。)
 (2)見上げると満天の星がある。
    → 見上げると満天の(抬头望,满天繁星。)
 (3)私はケーキが好きだ。
    → 私が好きなものはケーキ(我喜欢的东西是蛋糕。)
 (4)この料理の味は上々だ。
     → この料理、味は上々(这道菜味道好极了。)
 (5)冷たい風が吹いてくる。
     → 冷たい(冷风迎面吹来。)

 

☆☆☆ 含意法 (implication)

 伝えたい内容を直接言うのではなく、ある表現から推測される意味によって間接的に伝える表現法。

 (1)この部屋暑いね。(这间屋子好热呀)
    → この部屋にいると汗が吹き出てくるね。(在这个房间里待着就会冒汗。)
 (2)危ないところだった。もう少しで死ぬところだった。(刚才好险。差点就死了。)
    → 危ないところだった。もう少しでお花畑を見るところだった。
     (刚才好险。差点就去花田了。(在日本,有这样一个故事。将死的人会去长满了鲜花的花田,那里有一座桥,桥对面有一个老太太太。老太太会叫名字让对面的人过去。如果走过去了,就真的死掉了。))
 (3)「月が綺麗ですね」「あなたも綺麗ですよ」(“月亮好美啊” “你也好美”)
    → 「月が綺麗ですね」「綺麗なのは月だけじゃないよ(“月亮好美啊” “好美的不只是月亮……”)
 (4)「どうして濡れてるの」「雨が降ってるからね」(“为什么湿掉了”“因为下雨了”)
    → 「どうして濡れてるの」「傘持って行かなかったからね(“为什么湿掉了”“因为没带伞”)
 (5)(遊んでいる息子に対して母親が)「早く勉強しなさい」((母亲对正在玩耍的儿子说)“赶紧写作业。)
    →(遊んでいる息子に対して母親が)「もう宿題済んだの?((母亲对正在玩耍的儿子说)“作业都写完了么?”)

 

☆☆☆ 撞着語法 (oxymoron)

 正反対の意味を持つ語を組み合わせて、なおかつ矛盾に陥らずに複雑な内容を簡潔に表現する表現法。対義結合とも呼ばれる。公然の秘密、暗黒の輝き、無知の知、唯一の選択肢、ゆっくり急げ、欠点のないのが欠点、劇団ひとり、動けるデブ、燃える氷(メタンハイドレート)、嬉しい悲鳴、無冠の帝王、マイナス成長、遠くて近い国…

 (1)彼がしてくれたことはありがた迷惑だ。
    (他帮我做的事,真是好心帮了倒忙。)
 (2)数億年も姿を変えてこなかったカブトガニは生きた化石と呼ばれている。
    (马蹄蟹,数亿年体形都没有太大变化,被称为活化石。)
 (3)細マッチョな人が好き。
    (喜欢紧致结实(很瘦但是很有肌肉)的男生。)
 (4)ブサかわいい。(丑丑的可爱。)
    (类似于丑帅丑帅,但是ブサ可愛い是用来形容女孩子。)
 (5)彼は小柄だが、司令塔としてチームに貢献している。いわば小さな巨人だ。
    (他虽然身材矮小,但作为总指挥,为团队付出了不少。所谓“小巨人”。)
 (6)19世紀後半、イギリスの工業力は世界一の座を失う。これが覇権国家としての終わりの始まりとなった。
    (19世纪后期,英国在工业方面失去了世界第一的宝座。这就是霸权国家的衰落。)

 

☆☆☆ 誇張法 (hyperbole)

 物事を事実以上に大袈裟に述べることで、その程度を引き立たせる表現法。

 (1)とても疲れてる。(很累。)
    → 今にも死にそうなくらい疲れてる。(累得快要死了。)
 (2)そんなことは100%あり得ない。(那种事,百分之百不可能。)
    → そんなことは2万%あり得ない。(那种事,百分之两万不可能。)
 (3)孫は可愛い。(外孙(女)很可爱。)
    → 孫は目に入れても痛くない(外孙(女)可爱得不得了。)
     (目に入れても痛くない、是日语惯用句,形容小孩非常可爱。通常用来形容 孫。)
 (4)橋本環奈は美少女だ。(桥本环奈是美少女。)
    → 橋本環奈は1000年に1人の美少女だ。(桥本环奈是千年一遇的美少女。)
 (5)彼は嘘つきだ。(他是个骗子。)
    → 彼は息をするように嘘をつく。(他说谎如呼吸一样。)
 (6)あなたと私の考え方は全然違う。
    → あなたと私の考え方は180度、いや、540度違う。

 

☆☆☆ 皮肉法 (irony)

 直接非難するのではなく、逆の言葉を用いてあえて褒めることで相手を貶す表現法。反対の内容が述べられるため、言葉の攻撃力をより高めることができ、自分の考えを相手に強く認識させられる。

 (1)つまらないことで呼び出してくれて、ありがとう
    (因为这点小事把我叫出来,真是太谢谢你了。)
 (2)(0点の人に)そんな点数取れるなんてすごいね。私は絶対できない
    ((对得了0分的人说)能得那样的分数真的好厉害呢。我绝对做不到。)
 (3)君みたいに何度も失敗できる才能欲しいな。
    (真想要你那不管做多少次都能失败的才能。)
 (4)「試験に落ちたみたい。」「マジ? おめでとう!」
    (考试好像没过。——真的么,祝贺祝贺。)
 (5)(味方に対して)逆転のチャンスに失敗するなんて、あいつは本当に最高なやつだ。
    (错过了那么好逆袭的机会!那家伙真有才。)

 







日本語教育能力検定試験 解説, 用語集