平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題8解説

問1 トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)

 全身反応教授法/TPR (Total Physical Response)とは、アッシャー (Acher)により提唱された教授法で、母語習得過程を応用して発話よりもまず聴解力を養成し、教師の指示に対して体を動かしながら言葉を口にする活動を行う。言葉と動作を同時に取り入れることで記憶に残りやすくなると考える。子供の英会話教室などで用いられることが多い。1960年代~1980年代に広まった。

 したがって答えは1です。

 

問2 文型を聞き取って書き出す練習の限界

 1 多様な人物の声を聞き取る練習は必要でしょうか。リスニング教材では、どんな人の声でも聞き取りやすいように作られているはずです。
 2 間違いです。全て書き出すには全て聞き取らなければいけませんので、単音レベルの聞き取りに集中してしまい、文レベルの理解はないがしろにされがちです。
 3 正しいです。文型は聞き取れますが、その他の部分の意味については分からないことがあります。
 4 学んだ文型を聞き取って書き出す練習のため、その文型に注意が向けられます。未知語には注意を向けられにくいです。

 したがって答えは3です。
 
 

問3 「習っていない言葉があるので分かりません」という学習者へのアドバイス

 習っていない言葉が出てくると諦めてしまう学習者には、内容を推測させる練習を行わせるべきです。習っていなくても、推測によって文の理解ができるようになるかもしれません。

 したがって答えは2です。

 

問4 知らない言葉がたくさん出てくる場合の対応

 2 インターアクション仮説
 ロング (Long)が提唱した第二言語習得に関する仮説。他者との言語を使ったやり取り(インターアクション)をお互いに行い意味交渉することで言語習得が促進されるとする。ここでいう意味交渉は、明確化要求、確認チェック、理解チェックの3種類に分けられる。

明確化要求 相手の発話が曖昧で理解できないときに、発言を明確にするよう要求すること。
確認チェック 相手の発話を自分が正しく理解しているかどうか確認すること。
理解チェック 自分の発話を相手が正しく理解しているかどうか確認すること。

 1 正しいです。明確化要求
 2 正しいです。確認チェック
 3 間違いです。分からないなら聞いたほうがいいです。
 4 正しいです。

 したがって答えは3です。

 

問5 在住日本人を教室に呼ぶ

 日本人を教室に呼ぶことによって、日本人と接触する場面が少ない学生が得られる有用な情報について考えます。

 1 挨拶表現の練習は有用な情報でも、コミュニケーションの機会でもありません。
 2 せっかく日本人を教室に呼んだので、教科書の会話文を用いるのはもったいないです。
 3 正しいです。日本での生活で困ったことなどを聞くことができます。
 4 有用な情報かもしれませんが、説明をしてもらうだけではコミュニケーションの機会とはいえません。

 したがって答えは3です。

 





平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説