平成23年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題4解説

問1 前提

 言語学における前提 (presupposition)とは、ある命題が適切に発話、または解釈されるために、あらかじめ知っていなければならない命題のこと。例えば、「(A)彼女はまた泣いている。」という文からは、「(B)彼女は以前も泣いたことがある」という情報が得られる。この(B)が(A)を正しく解釈するための前提となっているといえる。

 1 「たぶんこの道をまっすぐでよかったと思いますけど…」からは、道案内に関する内容であることが読み取れます。前提に依存していません。
 2 「ううん、4時から」からは、何かが始まる時間を示しているということが分かります。前提に依存していません。
 3 「そうです」からは、何かに同意したことが読み取れます。前提に依存していません。
 4 「大阪です」からは、何が大阪なのか分かりません。「関西のご出身ですか」という質問があって初めて、「大阪」が指し示していたものは「私の出身」だったことが分かります。これは前提に依存しているために主語が省略されています。

 したがって答えは4です。

 

問2 焦点

 焦点 (focus)とは、相手の関心を引くために強調された文の一部分のこと。抑揚(アクセント)を変えたり、分裂文のように語順を変えたり、格助詞「が」などの文法的な要素によって強調される。例えば、「私が買ってきたケーキを食べたのは、妹だ」では、「妹」が強調されている。

彼がケーキを食べた。
彼が食べたのは、ケーキだ。
そのケーキは、彼が食べた。

 1 語順を変えることで、理由に焦点が当てられています。
 2 「わけではありません」を使って、理由に焦点が当てられています。
 3 理由に焦点は当てられていません。
 4 語順を変えることで、理由に焦点が当てられています。

 したがって答えは3です。

 

問3 新情報と旧情報

 新情報と旧情報と言えば、「は」と「が」の違いが思い浮かびます。「昔、◯◯という友達いたんだけど、彼とても面白い人だった。」のように、新情報は「が」、旧情報は「は」で表す性質があります。

 したがって答えは2です。

 

問4 文化による前提の違い

 日本人には、遠足に水筒を持って行くということは、飲み水として持って行くという前提があります。しかし、外国人児童の親にはそのような前提がなかったために、水筒だけを持っていってしまいました。

 これと類似しているエピソードは選択肢3です。「授業態度を重視する」と言われたら、日本人は真面目に先生の話を聞くことだと思います。しかし、外国人教師の文化からくる前提は「自発的な発話があること」でした。この違いによって評価を落しています。

 したがって答えは3です。

 







平成23年度, 日本語教育能力検定試験 解説