平成27年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題8解説

問1 カテゴリー化

 カテゴリー化とは、目にした対象のパターンを最も類似した過去の記憶に基づいて、その対象の持っている属性や性質を推測することで生じる分類のこと。人は認知能力に限りがあるため、カテゴリー化より最小の認知的努力で最大の情報を得ようとする。集団はカテゴリー化されることが多く、それによって内集団と外集団の違いが鮮明となることで偏見や差別が生まれるとされる。

 また、人は自分が属する集団に対して贔屓する傾向があり、これを内集団バイアスと呼ぶ。自分が批判されていなくても、自分が属する集団が批判を受けると対抗する態度を見せる(非当事者攻撃)のはこのため。この現象はネットでの炎上、延焼によく見られる。

 
 1 カテゴリー化は外見によらず、異なる集団の間で発生します。
 2 国が違えば印象が異なるように、対象の文化が異なったらカテゴリー化の方法も変わるはずです。
 3 対象を自分の中で分かりやすく分類するのがカテゴリー化です。
 4 人はカテゴリー化を自然に行っています。

 したがって答えは4です。

 

問2 ステレオタイプ

 ステレオタイプとは、多くの人に浸透している、特定の集団に対する先入観や思い込み、固定観念のことです。「眼鏡をかけてる人は勉強できる」や血液型占いなどがこれにあたります。ここに否定的な評価や感情が加わることで「◯◯人は✕✕だ」のような偏見や差別が生じます。

 1 「Xさん」は個人です。ステレオタイプは集団に対して生じます。
 2 「中国人」に対するステレオタイプ
 3 「女性」に対するステレオタイプ
 4 「ドイツ人」に対するステレオタイプ

 したがって答えは1です。

 

問3 内集団と外集団

 選択肢1
 文章中にヒントがあります。後述されている「内集団バイアス」です。

 選択肢2
 上述している「非当事者攻撃」の逆の現象です。

 選択肢3
 カテゴリー化やステレオタイプは、外集団をおよそ同じ性質を持っているものとして(均質的に)捉えます。この選択肢は外集団と内集団の関係が逆です。

 選択肢4
 カテゴリー化では外集団の成員を均質的に捉える一方、内集団の成員の性質ははっきり捉えられます。よって内集団の成員の方が、それぞれ異なって認識されます。
 余談ですが、この選択肢は2種類の解釈ができる気がします。日本語がおかしいと思うのですが…

 
 したがって答えは3です。

 

問4 外集団に対する偏見や差別

 選択肢1
 正しいです。

 選択肢2
 カテゴリー化は無意識で行われます。

 選択肢3
 報道やネットの情報などから影響を受けて、他国の人に対するステレオタイプが形成されたりするよう、会った事がなくても差別や偏見は起きます。

 選択肢4
 利害関係がなくても、その外集団を蔑む感情があれば偏見や差別につながります。

 したがって答えは1です。

 

問5 カルチャー・アシミレーター

 1 コンフリクト・マネジメント
 組織においてマイナスに捉えられがちな利害の衝突・対立を組織の活性化や成長の機会と捉え、解決すること。

 2 オピニオン・ギャップ
 参加者の間にある意見の差​のこと。

 3 クリティカル・シンキング(批判的思考)
 目の前にある情報を鵜呑みにせず、本当に正しいのかと疑うことで考えを深め、最適解に辿り着こうとする思考方法のこと。

 4 カルチャー・アシミレーター(異文化同化訓練)
 文化の違いを感じさせるエピソードに対する複数の解釈を通じて、人々の解釈の違いを学んでいく形式の異文化教育のこと。
 参考:カルチャーアシミレーター紹介

 
 したがって答えは4です。





平成27年度, 日本語教育能力検定試験 解説