日本語コラム

 今学期は以前よりも増して日本語を勉強している方々からのご連絡をよく頂くようになりました。
 色んな質問をされて私も刺激を受けています。
 できるだけ誠心誠意答えたいと思っていますから、何か質問等あれば遠慮なくご連絡ください!

 さて今回は「申し入れる」と「申し出る」の違い。
 これも先日質問を受けました。結構難しい…。

 

申し入れる(もうしいれる)

 意味は意見・希望・要求などを、相手方に伝えることです。

  (1) 辞表を取り消したいと申し入れた
  (2) 大会の出場辞退を申し入れる

 ただ伝えるだけではなく、抗議や不満を感じている様子の時によく使われます。
 したがって多くの場合ネガティブな文になります。

  (3) クーリングオフを申し入れると、相手は最初素直に受け入れることが多い。
  (4) このカメラマンに抗議を申し入れることを明らかにした。
  (5) 19日に首相が経済界に直接申し入れる予定である。

 

申し出る(もうしでる)

 意味は意見・希望・要求などを、相手方に伝えることです。

  (7) 誕生日当日から3日までに申し出るとプレゼントが貰える。
  (8) 蕎麦アレルギーなので申し出たら、店員さんがちゃんと対応してくれた。

 ポイントは、それらの意見や要求を自分から伝えている点です。
 自己申請、自己申告する場合に使います。

  (9) クーリングオフを申し出ると、相手は最初素直に受け入れることが多い。
  (10) そんなに辛くないですが、苦手な人は事前に申し出るといいですよ。
  (11) 具合が悪くなったら気にせず「席を譲っていただけませんか」と申し出ることは大切だと思う。

 

「申し入れる」と「申し出る」の違い

 

 意味は同じで、自分の意見や希望を相手に伝えることを表します。
 申し入れるは「抗議や不満」、申し出るは「自己申告」です。

 
 何か間違い等ありましたら教えてください。

 

日本語コラム

 学生の細かな間違いを分かるからと言って訂正しないで放っておくと、その言い方が自分の中にもだんだん馴染んできて、何が間違いで何が正しいのか分からなくなってくるなんてことは少なくありません。
 私の中のその最たるものは「私の数学は上手です。」です。

 まずこの場合上手ではなく得意を使うことは「【第45回】「得意」と「上手」の違い」で述べているので見てみてください。

 ここで触れたいのはその文型です。

 

「私の数学は上手です」は間違った言い方

 中国語では「我的数学不好」というような言い方があるため、このまま直訳した結果このような日本語となっています。
 これは数学のみならず、全ての科目に共通して言えることです。

 はっきり言って間違いです。もう使わないでください。
 絶対にこんな言い方はしません。私も中国に行くまで一度も聞いたことがない日本語でした。

  (1)✕私の数学は上手です。
  (2)✕私の歴史は得意です。

 助詞「の」は修飾と所有の2つの意味を持ちます。
 「我的数学不好」の「的」は修飾としての意味になりますが、「私の数学」の「の」は所有を表しているような気もして変。

  

正しい言い方

  (3) 私数学得意です。
  (4) 私歴史得意です。

 普通の日本人はこう言います。いわゆるはが構文というやつです。
 特に自己紹介なんかで使う頻度が高いですから、これを読んでくれた方はもう間違えないでくださいね!

 

日本語コラム

 よく学生が間違える表現に得意上手があります。
 自分に対して「上手」と言うとなんか変な感じですから、ぜひ正しく使えるようになってください。

 

得意(とくい)

 得意とは何らかの技能が優れていて自信があることです。
 バスケやギター、日本語や料理などの身体的動作を伴うものでも良いですし、数学や歴史などの科目、聞くや見るなどの静的なものでも良いです。
 様々な技能に対して言うことができます。

  (1) 喋るより聞く方が得意なんです。
  (2) あんまりゲームは得意なほうじゃない。
  (3) 得意料理はカップ麺。

 他人に対して使うこともできますし、自分に対して使うこともできます。

  (4) 彼は謎のあだ名をつけることが得意です。
  (5) 私の家系は召喚術が得意
  (6) 英語よりフランス語の方が得意だった。

 得意の対義語は「苦手」。
 使い方は得意と同じですから分かりやすいですね。

 

上手(じょうず)

 上手とはある物事をする技術がすぐれていることです。
 サッカー、掃除、日本語、話す、聞くなど幅広く使えます。その技術の高さを評価して褒めるニュアンスがあります。

  (7) 車の運転が上手な男性はかっこよく見えちゃう。
  (8) イラストが上手でうらやましい。
  (9) 片付け上手な人は尊敬できる。

 上手は他人に対してのみ使うことができます。

  (10) やっぱり包丁使うの上手だね!
  (11) 世渡りが上手すぎる友達。
  (12)✕私は昔から運転が上手

 上手の対義語は「下手」です。
 下手は自分に対して使うこともできます。謙遜の意味が出てくるためです。

  (13) 私は相変わらず説明が下手
  (14) 自炊が下手すぎて情けない。

 

「得意」と「上手」の違い

 

 得意と苦手、下手は他人も自分にも使えます。でも上手は他人だけです。
 得意は自信があり、上手は褒める感じがあります。

 

不明点

 科目に対して「上手」を使うとなんだか変な感じがします。
 色々考えてみたんですが、多分身体的動作がないものは上手を使うとダメなのかな?
 あるいは単なる例外的なものなのかもしれません。

  (15)✕彼は数学が上手です。
  (16) 彼は数学が得意です。

 ですから科目の時は「得意」か「苦手」を使ってください!