中国での生活

 昨日学生のとの会話で面白い話を聞きました。北京の戸籍に関する話です。
 北京の戸籍がある人は大学入試でもいくらか点数が優遇されて有利に働きますし、良い仕事に就くこともできるというメリットから中国人なら多くの人が欲しいものです。その北京の戸籍を巡る争いが、学生の間でも密かに行われているようです。

 その学生の彼氏は今専科。
 中国の大学生は専科と本科の2種類に分けられ、本科は2流、専科は3流の学生です。大学入試の時点で成績に大きな差があったために進学できる大学に差ができました。それがこの2つの違いとなります。

 北京で家(部屋)を買って5年生活すると北京の戸籍を取得することができるようなのですが、まず北京で家を買うためには本科でなければならないという前提条件が存在します。彼は専科ですから、今の状態では北京で家すらも買えません。
 なので彼は来年3月に行われる、専科から本科へ入学し直す試験を受けるつもりだそうです。この試験は人生で1度しか受けられない貴重な試験なので、もし落ちてしまえば北京戸籍をほぼ諦めるしかなくなってしまいます。

 仮に合格したとしても、北京で家を買わなければならないという大きな障害が立ちはだかります。
 北京の住宅価格は他の都市と比べ物にならないほどで、もしローンで支払っていくのであれば一生をかけても払えないくらいの価格の借金を背負うことに。
 その重圧を命をかけて背負っていくつもりがなければ、自力で北京戸籍を取得することは難しいという現状があります。

 北京戸籍を取得する計画を最初に言い出したのは彼の父親だそうです。
 北京戸籍を持つ親から生まれた子供は当然北京戸籍ですから、それは中国で生きていく上で大きな恩恵を受けられます。
 こうやって自力で取得できる人はわずか。北京の大手で働く一部の超優秀な人材であれば特例で取得できるそうなのですが、一般人とは縁のないことですね。

 手っ取り早いのは北京戸籍の相手と結婚すること。そうすると自動的に自分も子供も北京戸籍を取得できます。他力本願なところがありますから、お見合いなどでは見透かされるかもしれませんね。逆に言えば北京戸籍はお見合いや自由恋愛でも大きな武器になる可能性を秘めています。愛やルックスはともかくとして戸籍が欲しいという人がいればすぐマッチングできたりするかもしれません。

 中国で生まれた子供は政府によって定められた規定によって既に優劣が決まっている恐ろしさ。
 これが中国特有の面白さでもあります。

中国での生活

 こんな動画がアップされてました。
 双11に買った荷物が届かない理由がこれかもしれません。

 
 ベルトコンベアーと荷物の落下速度が同じところがポイント高いですね!

 私もまだ多くの荷物が届いてません。
 追跡してみると確かに運ばれてきてはいるんですが、やっぱりいつもよりは遅いスピードです。
 もうしばらく待たないといけないです。

日本語コラム

 今日の水溜りボンドさんの動画で、運転免許試験の効果測定で出されるひっかけ問題、悪問が出題されていました。

 
 こういうひっかけ問題ってずるいですよね…。

第1問 夜の道は危険なので、気をつけて運転しなければならない。

 答えは✕でした。愕然としますね… 常識ある人であれば〇を選択するでしょう。
 なぜ✕かというと、運転は昼夜問わず常に気をつけなければならないからだそうです。
 開いた口が塞がらないとはまさにこのことです。

 実は動画内で取り上げられた第1問と第5問は、助詞「は」のある用法が原因となってひっかけ問題と化しています。
 今回はそのからくりについて紹介します。

 

助詞「は」について

他の事態との区別を表す「対比」の用法

 助詞「は」には対比の用法があります。対比とは他の事態との区別を表し、二つ以上の判断を対照的に示すことです。例えばこのような使い方をします。

  (1) これは水で、これは塩水だ。
  (2) うちはうち、よそはよそ。
  (3) 肉は食べられますが、野菜は食べられません。
  (4) 私は毎晩ちゃんと勉強してますよ。(他の人は知らないが、私はしている)

 対比は通常「Aは~、Bは~」「Aは~だが、Bは~だ」などの文型で用いられます。
 通常はAとBの違いをはっきりさせるために用いられるのですが、(4)のように暗示する場合もあります。

 この用法を使うときはほとんどの場合前後の文脈が必要で、仮に文脈がなければ対比だとは分かりにくくなる性質を持っています。(4)がまさにそうです。例えばこのような文だと対比としての意味は全くありませんので普通の文として認識されます。

  (5) 魚は食べません。
  (6) 料理を作ることは嫌いです。
  (7) 彼のことは知りません。

 

文脈があってこその対比

 では、普通の文に文脈を加えてみましょう。

  (8) 肉は食べますが、魚は食べません。
  (9) 料理を食べることは好きですが、料理を作ることは嫌いです。
  (10) 彼女のことは知っていますが、彼のことは知りません。

 助詞「は」の対比としての意味がはっきり浮き出てきますね。
 対比の性質上、前項と後項の間には逆説の接続詞が用いられることが多く、こうすることによってその対照性を強調することができます。

  (11) 肉は食べます。魚は食べません。 (強調していない)
  (12) 頭は痛いです。喉は大丈夫です。 (強調していない)

 逆説の接続詞が用いられない場合は対比としての意味合いが極端に薄くなります。

 

教習所のひっかけ問題について

問題文では文脈のない対比の「は」を用いている

第5問 自動車は道路標識を守らなくてはいけない。

 助詞「は」には主題を表す用法もあり、「それについて言えば」という意味を表します。この用法のときは対比としての意味はありません。
 この問題文の主題は自動車です。「自動車」だけをトピックとして取り上げていてそれ以外のことには一切触れていません。この問題文を読んだとき普通の日本人は自動車以外の存在を考えることはありません。ですから答えは当然〇を選びたくなります。

 ところが答えは✕、衝撃的です。
 その理由は自動車だけではなく、人も交通標識を守らなければならないからだそう。
 はい、ここで対比の用法が出ました。

 問題文の「は」は主題を表していますが、答えの理由では唐突に対比の「は」が使われています。
 この答えを聞くと普通の日本人なら「自動車のことしか考えてないし、人のことなんて考えてなかった」と思うでしょう。
 だからこの問題文は悪問と呼ばれているのです。

 

文脈があれば悪問にはならない

 答えを✕、理由を「自動車だけではなく、人も交通標識を守らなければならない」としたいのなら、問題文にも対比の「は」を付け加えなければいけません。対比の「は」にするときは前後に文脈を付け足し、逆説の接続詞が必要です。

第5問(訂正後) 歩行者は道路標識を守らなくてもいいが、自動車は守らなくてはいけない。

 どうでしょう。
 これなら万人が納得して✕です。理由も完璧ですよね。

第1問(訂正後) 昼は明るくよく見えますが、夜の道は危険なので気をつけて運転しなければならない。

 このようにして対比の用法を使うことでひっかけ問題ではなくなります。

 

出題者は助詞「は」の用法を知らない

 主題の「は」は、まさにそれだけに言及する用法であってそれ以外のことについては一切触れません。しかし問題文では主題の「は」を使っておきながら、回答で突然対比の用法を使っています。
 こういった出題方法だと日本語に問題があると言わざるを得ません。通常誰も考えすらしないところに回答が転がっているのですから、初見で正解するほうが困難ですよね。

 このような問題は今でも作られて出題されているようです。ただちに是正すべきだと思います。
 外国人が日本で免許を取るときにこのような問題が出題されたら、私たち日本語教師は一体どのようにして説明すればいいんでしょう…。
 ひっかけ問題はあってもいいと思いますが、このタイプのものはあまりにもひどすぎます。

 

まとめ

 教習所の学科試験から助詞「は」の用法について学びました。
 今回取り上げた用法は主題と対比の2つです。(他にも最低限、取り立て、既知の用法もあります。)

 主題とは、まさにそのことについてだけ述べるときに使う用法です。それ以外のことに言及はしません。
  (13) 薔薇の花はとても美しい。
  (14) 彼は先生です。

 対比とは、「Aは~だが、Bは~」の文型を取ってAとBの対照性を強調する用法です。
  (15) 雨は降っているが、寒くはない。
  (16) タバコはやめたが、お酒はやめられない。

 日本語学習者の皆さんは、こんな馬鹿げた日本語は相手にしないでくださいね。