平成28年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説
(6)状態動詞
状態動詞とは、動作や変化ではなく、状態を表す動詞のこと。通常「~ている」の形をとらない。ある、いる、できる、要る…
(1) 彼と彼の母はよく似ている。(性質)
(2) 猫が2匹いる。(存在)
(3) 大きい山が見える。(存在)
「見える」は自分が自らの動作を伴って見ているのではないので動き動詞ではありません。状態動詞です。
したがって答えは4です。
(7)品詞
1 want(動詞) - 欲しい(形容詞)
2 need(動詞) - 要る(動詞)
3 sick(形容詞) - 病気だ(名詞+助動詞)
4 different(形容詞) - 違う(動詞)
それぞれ英語と日本語で意味が似ているものが並んでいます。
品詞を見てみると2だけが動詞と動詞で、この中で唯一共通しています。
したがって答えは2です。
(8)状態動詞の特徴
状態動詞の特徴について適切なものを選ぶ問題です。
問題文を見ると、”「ある」は状態動詞“と書かれているので、この「ある」を使って選択肢を一つひとつ見ていきます。
1 3項型の文型を取る
三項動詞とは、「あげる」「もらう」「くれる」「借りる」「貸す」「教える」などの最低三つの項を取る動詞のこと。
AがBにCを教える。/AがBからCを借りる。
状態動詞「ある」は、「Aがある」や「AにBがある」のように一項や二項の形を取りますので三項型ではありません。
2 場所を表すヲ格を取る
状態動詞でヲ格が場所を表すというなら、「机の上をコップがある」になってしまいます。こんな言い方はありません。
正しくは「机の上にコップがある」です。場所を表すときはニ格を取ります。
3 「(ニ格)-ガ格」の文型を取る
状態動詞「ある」は、「AにBがある」の文型を取りますので正しいです。
ニ格にカッコがついているのは、ニ格は必ずしも必須の項ではないという意味だと思われます。
つまり「ある」は一項型?
4 0項型の文型を取る
「春めく」や「停電する」が0項動詞にあたります。
一方状態動詞「ある」は一項や二項の形を取ります。0項型ではありません。
他の状態動詞「似る」なども同様に「AはBに似ている」などの形になりますので0項ではありません。
したがって答えは3です。
(9)状態動詞と非状態動詞のテンス
状態動詞は主節においてル形で現在を表します。
(4) 机の上にコップがある。(現在)
(5) 遠くに山が見える。(現在)
(6) 彼は私より劣る。(現在)
一方、非状態動詞は主節においてル形で未来を表します。
(7) 明日から本気出す。(未来)
(8) 来年の春、ニューヨークに行く。(未来)
したがって答えは1です。
(10)非状態動詞の用法
状態動詞「ある」のル形のテンスの解釈が異なるものを問う問題です。
問(9)で状態動詞は主節においてル形で現在を表すことが分かっていますので、現在を表さないものを探します。
1 「~桜並木がある」(現在)
2 「~雪がある」(現在)
3 「~蔵がある」(現在)
4 「~祭りがある」(未来)
つまり選択肢4の「祭りがある」は「ある」ですけど動作動詞「開催する」の感じで使われています。動作動詞のル形は未来を表すのが原則ですから、ここでも未来になっています。
1、2、3のテンスは現在です。4だけが未来を表しています。
したがって答えは4です。