平成29年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(5)解説
(5)借用における文法形式の脱落
造語法の一つに借用というものがあります。これは他言語から取り入れて新しい語とする方法のことです。こうやって使われるようになった語は外来語って言います。
一応造語法一覧を書いておきます。
合成法 | 複数の形態素を結合する方法。 | ゴミ箱、大教室、スマホケース |
---|---|---|
転成 | 既存の語の品詞を変えて新しい語を作る方法。 | 暮らし、物語、話 |
省略/縮約 | 既存の語を省略・縮約して新しい語を作る方法。 | 就活、日ハム、ハガレン |
借用 | 他言語から取り入れて新しい語とする方法。 | テレビ、メモ、マスク |
混交/混淆 | 複数の既存の語の一部を取って1語とする方法。 | 「やぶる」と「さく」から「やぶく」を作るようなこと。 |
逆成 | 既存の語を派生語と見なし、その語末を派生接辞を捉え、それを切り離して新しい語を作り出す方法。日本語ではほとんど例がない。 | 「もくろみ」から「もくろむ」 |
文字・表記 | 百から一を引くと99になることから99歳を白寿、八十八を組み合わせると米になることから88歳を米寿とするなど、既存の漢字を分解して言葉を作る方法。また、ローマ字表記の頭文字を取ってTシャツやYシャツなど新しい言葉を作る方法。 | - |
とりあえずそれぞれ英語に直してみます。
1 mashed potato
2 chiffon cake
3 smoked cheese
4 iced coffee
5 scrambled eggs
選択肢1、3、4、5には受身を表す「ed」があります。でもこれはカタカナにするとき脱落して読まれません。
1 マッシュドポテト ⇒ マッシュポテト
3 スモークドチーズ ⇒ スモークチーズ
4 アイスドコーヒー ⇒ アイスコーヒー
5 スクランブルドエッグ ⇒ スクランブルエッグ
選択肢2は全部読まれます。
したがって答えは2です。
この問題、日本語の試験なのに英語の問題っぽくて嫌いです。
ディスカッション
コメント一覧
こんにちは。日本語教育能力検定試験の過去問を解説をしてくださりありがとうございます。
過去問を解いた後にこちらのブログを拝読し勉強しております。
上の
1 mashed potato
3 smoked cheese
4 iced coffee
ですが、
d が無声子音に接続するため同化して、それぞれ
1 マッシュト
3 スモークト
4 アイスト
と、無声で発音されると思います。
一度ご確認くださればありがたいです。
>けやきさん
ご指摘ありがとうございます。
ここでは借用後に発音されなかった「ed」を解説するため、「ド」と統一して無理やり書いています。英語の本来の発音が「ト」寄りなのか「ド」寄りなのかはご指摘の通りかもしれませんが、この問題の争点はそこではありませんので個人的にどちらでもいいと思っています。
管理人さま、
わかりました。
ご回答ありがとうございました。
過去問開設、お世話になっております。
「ed」の発音「ド」が無声化するといご指摘で、選択肢2はすべて発音されるとありましたが、「スモークチーズ」も他の選択肢と同じように見えるのです。
ご回答、よろしくお願い致します。