「わざと」「わざわざ」「あえて」の違い
わざと
故意、意図的という点を強調
物事の自然な成り行きや偶然に起こりえること故意に回避して、意図的に何かをすることを表します。
多くは悪意を伴った意味を持つが、稀に中立的な意味にもなります。
人によって意図的に行われたことを強調しています。
「わざとらしい」という言い方もあります。
例文
(1) 私のことが嫌いなのか、彼はわざと目を合わせない。
(2) わざと怪我をして学校を休む。
(3) わざと何も分からないふりをして、その場をやり過ごす。
(4) わざと一つ大きめのサイズの服を着るようにしている。
(5) スポーツなどで両者合意の上わざと負けることを「八百長」という。
わざわざ
その動作の特別性を強調
何かのついでに行ったのではなく、労力を惜しまず(苦労して)そのためだけにしたことを表します。本来する必要のないことをしているのが特徴です。
その動作がまさにそのためだけに行われていることを強調しています。
基本的には動作主の好意や善意、心配などがもとになって動作が行われますが、その程度が過ぎると恩着せがましい感じを受けます。
「~んだから/~のだから/~のに」と呼応することがあります。
例文
(6) わざわざありがとうございます。
(7) わざわざ来てくれてありがとう。
(8) それはわざわざ言う必要ないことだ。
(9) 私の誕生日をわざわざ覚えててくれて嬉しいです!
(10) どうでもいいような事にまで、わざわざ文句をつける上司。
(11) 夜一人は危ないからってわざわざ家まで送ってもらった。
あえて(敢えて)
困難や危険があるけど私はやる!
本来する必要のないことを意図的に行う点は「わざわざ」と同じですが、「あえて」の場合はそれをすると何らかの困難や危険が伴います。しかし、それでも本人はそうするべきだと思っているときに使います。
困難や危険とは、それをすることによって他人の反感を買ったり、非難されたり、あるいはそもそもその動作やりにくいなどです。
自分の考え方や主張が強く表れる表現です。
「あえて言うなら」という言い方もあります。
例文
(12) あえて言うなら、髪の長いほうが好きです。
(13) あえて1駅前で降りて歩いて帰る。
(14) あえて終電逃した。
(15) 人にはあえて厳しく接する。
(16) 彼女の家に行ったけど、あえて何もせず帰ってきた。
まとめ
比較
(17) わざと人の邪魔しに来る。
(18) わざわざ人の邪魔をしに来る。
(19) あえて人の邪魔をしに来る。
まとめますと…
「わざと」は故意を強調。
「わざわざ」は動作がついでではなく、そのために行ったことを強調。
「あえて」は困難や危険があるけど、そうするべきだと思ってるときに使う。
(17)では、「故意に邪魔した」ことを強調しています。
(18)では、邪魔するために「来た」ことを強調しています。
(19)では、邪魔すると怒られたりするかもしれないけど、その人のために等何らかの理由があってそうするべきだから邪魔したことを表します。
練習問題
(20) 口論になるかもしれないから、その話には( )触れなかった。
(21) ( )車から降りてきてファンに挨拶しているようだ。
(22) 彼氏が仕事終わりに会いたいからって( )来てくれた。
(23) ( )値段は聞かなかったけど、高そうなのは見れば分かった。
(24) 走行中の自動車に近づいて( )接触して交通事故を装う人を「当たり屋」と呼ぶ。
1.わざと 2.わざわざ 3.あえて
答えは…
(11) 3.あえて
(12) 2.わざわざ
(13) 2.わざわざ
(14) 3.あえて
(15) 1.わざと
以上です。
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