「寝る」と「眠る」の違い
「寝る(ねる)」と「眠る(ねむる)」の違い
「寝る」には横たわっているという意味がある
「寝る」と言えば睡眠を真っ先に思い出すかもしれませんが、実は必ずしも睡眠状態だとは限らず、横たわってさえいればどちらでも構いません。
(1) 猫がいびきをかいて寝ている。
猫がいびきをかいて眠っている。
(2) 一度寝たら朝まで絶対起きない。
一度眠ったら朝まで絶対起きない。
(3) 寝る直前に考えてたことは夢に出てきやすい。
眠る直前に考えてたことは夢に出てきやすい。
(4) 頭頂部の髪の毛がどうしても寝てしまう。
(1)~(3)の例文は横たわっていて睡眠状態です。この場合は「眠る」に言い換えることが可能です。
また、(4)の「髪の毛が寝る」とは横たわって頭髪にボリュームがない様子を表します。対義語は「髪の毛が立つ」です。体だけではなく、何か物が横たわっている時にも「寝る」が使えます。
(5) 寝ながらスマホを触る。(=横になってスマホを触る。)
✕眠りながらスマホを触る。
(6) 寝たまま着替える。 (=横になりながら着替える。)
✕眠ったまま着替える。
(5)(6)は横たわっているだけで、睡眠状態にありません。
単に横になっていたり、休んでいる場合にこの使い方ができます。
この時は「眠る」に言い換えることはできません。
「眠る」は目を閉じた無意識の状態を指す
なぜなら「眠る」は目をつぶっていて無意識の状態を指すからです。すなわち完全な睡眠状態で、対象が物であれば活動が完全に停止した状態です。必ずしも横になっているとは限らず、睡眠状態であればどちらでも構いません。
(7) 毎日仕事に追われて深夜2時にようやく寝られる日々。
毎日仕事に追われて深夜2時にようやく眠れる日々。
ただし、(7)は[ベッドに横になれるタイミングが深夜2時]と[寝付いたのが深夜2時]の2つの解釈が可能なので、「眠る」に言い換えることができます。
「寝る」と「眠る」の共通点
「寝る」と「眠る」の共通点として、しばらく使われていないものを表す用法があります。
(8) ここまだまだ私の知らない美味しいものが眠っている。
(9) 口座に眠っているお金。
(10) 以前にも頂いた着物が眠ったままだ。
(11) (将棋で)寝ている銀を活用する。
死を意味する「眠る」
「眠る」は死を意味する用法があります。「埋葬する」「埋める」などに言い換えが可能です。
「寝る」にはこのような意味がありません。
(11) 安らかに眠っている。
(12) 弟はその教会の墓地に眠っている。
✕弟はその教会の墓地で寝ている。
まとめ
練習問題1 立ったまま( )。
1.寝る 2.眠る
まず大前提として、
「寝る」は横たわっていることが必須条件。
「眠る」は必ず睡眠状態、無意識でなければいけません。
「立ったまま」と言ったこの時点で既に横たわっていませんから「寝る」は使えません。
答えは「眠る」です。
まとめて書くと私も混乱してしまいます…。