「動ます形+合う」の導入

日本語教師のお仕事

 「私たちは冗談を言っています。」

 2年生が書いた作文の一節。
 2人は冗談を言えるくらい仲が良いことを表していると思われます。
 文法は別に問題ないけど、ちょっとネイティブはこんなこと言わないかなあというくらいですね。

 こういうときは普通どう言えばいいでしょう?
 実は便利でより親密に感じられる文法があります!

 まず黒板に「私たちは冗談を言っています」と書いて、このどこが変?と学生に聞いてみました。
 もし分かったらN2は合格だねと煽ったところ、必死に考えてくれました。でも結局答えは出ませんでしたけどね。

 というわけで分かりやすく寸劇入れました。

 一人男の学生を教壇まで呼んで、私がその人の肩などを殴る動作を見せます。
 「私は何をしていますか?」
 学生は「先生は◯◯を殴ります。」と答えます。

 その後、彼に私の肩を殴ってもらいます。このとき私が殴られると同時に私も彼を殴ります。
 つまりお互いがお互いを殴ります。

 ここでも「私たちは何をしていますか?」と聞きました。
 学生は一瞬の沈黙、そして出てきた答えは「お互いに殴ります」でした。

 まあこれでも良いんですが、もっと便利な文法ありますよ!と展開。
 「私たちは殴り合っています」

 動詞のます形に「~合う」を接続することで互いが互いに向かって同じ動作をすることを表現できます。
 ここまで話すとなるほど~!みたいな感じになるので、一番最初の問題に戻りましょう。

 「”私たちは冗談を言っています”のどこが変ですか?」
 察しがいい学生だとすぐ分かります。これは「私たちは冗談を言い合う」ですね。
 主語が私たちで複数ですから発生した言い方です。

 
 他にもこんな言い方があります。
 食べさせ合う/話し合う/助け合う/愛し合う/分かり合う/尊敬し合う/言い合う/罵り合う/笑い合う/プレゼントし合う/付き合う…
 なお、話し合うは相談の、言い合うは口論・喧嘩の意味合いもあります。

 
 だいたい3分くらいの寸劇でした!
 こういうのって視覚的にも体系的にも学べるのでいいと思います。
 その後学生によって訂正された作文では「~合う」の使用率が高まりましてほっと一安心です。





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