「太る」と「太い」の違い
日本語コラムも第50回目になりました。今回は「太る」と「太い」の違いについて。
ダイエットなどの話になると使われる頻度が高いこの単語ですが、実は中国人が比較的間違えやすい言葉です。
ついこの間も学生が「食べ過ぎた、太くなった」とツイートしてるのを見ました。
これは変な日本語に聞こえます。
太る(ふとる)
体に肉や脂肪が厚くつくことを表す動詞です。
「体」と言ってますので対象は人や動物だけです。物には脂肪等つきませんから使うことができません。
(1) 食べ過ぎは太る原因になるので、気を付けてください。
(2) カロリーゼロは人工甘味料の影響で太りやすいらしい。
(3) 猫ちゃんが太ってきた。
(4)✕この木はすごく太っている。
(4)は人や動物ではないので間違いです。
ちなみに太るには明確な基準はないので、それが太っているかどうかは個人の主観によって判断されます。
太い(ふとい)
長さのわりには周りの長さや幅が大きいことを表すい形容詞です。
こちらは人にも物にも使うことができます。
(5) 足が太いと見苦しくみえる。
(6) 私のほうが腕太いはずなのに腕相撲で負けた。
(7) 眉毛が太い。
(8) この木はすごく太い。
「太い」とは脂肪があって大きい以外にも、筋肉量が多かったり、何かしらの病気等で大きい等の場合も含まれます。
ですから脂肪が多いことを指しているとは限りません。
「太る」と「太い」の違い
「太る」は、人や動物の体全体が脂肪で大きくなっていること。
「太い」は、体全体を除き、単純に周囲が長くて幅が大きいこと。
まず、体全体を指すときは「太る」です。
(10) 最近食べ過ぎて太ってきた。
(11) エサをもらって太り始めた猫。
したがって記事冒頭の「食べ過ぎた、太くなった」は間違い。
自分の体全体の事を指すなら動詞の「太る」を使うべきです。
(12)✕食べ過ぎて太くなった。
(13) 食べ過ぎて太った。
体全体ではなく、腕や足、指など体の一部分を指す場合「太る」はダメ。
この時は普通「太い」を使います。
(14)✕脚が太った。
(15) 脚が太くなった。
(16)✕上腕二頭筋が太ってきた。
(17) 上腕二頭筋が太くなった。
同様に、物に対しては動詞「太る」を使うことはできません。
必ず「太い」を使います。
(18)✕太ったキュウリ
(19) 太いキュウリ
(20)✕太った丸太
(21) 太い丸太
その他
混乱を避けるためにあまり言いたくないのですが、体全体を指していても単純な太さの比較をするなら「太い」が使えます。
(22) あの木よりお前の方が太いぞ。
書いててすごく複雑になっちゃいました。
お分かりいただけましたか。正直私も混乱してます…。
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