令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題9解説

問1 在留外国人

 問題文には「法務省の在留外国人統計」としか書いてませんが、在留外国人の統計情報を発表しているのは法務省の外局である出入国在留管理庁です。2022年末現在とあります。これは令和4年度末のこと。情報は「令和4年末現在における在留外国人数について | 出入国在留管理庁」で見られます。

 選択肢1

 1位は中国、2位はベトナム、3位は韓国です。この選択肢は間違い。

 
 選択肢2
この問題はひどい。普通時事対策をするなら昨年の令和4年度だけ見るんですよ。でもこれ、令和3年度令和2年度も見てないと分からない。そういう出題の仕方やめてもらえませんか?
 まず、令和4年度のには「過去最高を更新。初めて300万人を超える。」とあり過去最高だったのは確かです。それから過去3年間の上位3か国ですが次のようになってます。

令和4年度 令和3年度 令和2年度
1位 中国 中国 中国
2位 ベトナム ベトナム ベトナム
3位 韓国 韓国 韓国

 確かに過去3年上位3か国は同じでした。
 答えはこれです。

 
 選択肢3
 令和4年度(2022)の上位10か国を足し算したら 2,583,414人 でした。
 令和3年度(2021)の上位10か国を足し算したら 2,353,495人 でした。
 減少してません。この選択肢は間違い。

 
 選択肢4
 増加数は書いてるけど増加率なんてもともとのデータに書いてないんです。自分で計算しろってこと? 出題者いい加減にして。奇をてらわないで素直に出題して。

国・地域 前年比
中国 106.3%
ベトナム 113.0%
韓国 100.4%
フィリピン 108.0%
ブラジル 102.2%
ネパール 143.5%
インドネシア 165.3%
米国 112.3%
台湾 111.9%
タイ 112.7%

 もっとも増加率が高いのはインドネシアでした。この選択肢は間違い。

 
 答えは2です。

問2 心理的支援

 選択肢1
 先回りしても解釈が正しいとは限らないし、というかカウンセリングするなら相手の話を聞いたほうが良いと思う。
 この選択肢は間違い。

 選択肢2
 日本語教師は日本語教えることがメインの仕事だけど、相手が日本という外国に住んでる外国人だから、生活の中でいろいろ問題が起きたり、絶賛カルチャーショック中だったりとか問題を抱えてる人も珍しくないんです。そういうときに一番近くにいて様子を見、対応してあげられるのが日本語教師。実は教育に専念するだけが仕事じゃないです。相談くらいは聞いてあげて。専門性が高い領域になったら専門家に任せたほうがいいけど。
 この選択肢は間違いです。

 選択肢3
 授業外で何か心理的に問題を抱えている学習者から個人的に相談されました。その相談内容に基づいて授業運営を改善しよう! これはあり得ると思う。グループに分けるときに仲いい人とグループになれるように配慮するとかそういうことはするから。
 個人的に相談された内容を他の教員と共有する? 実際の現場では相談内容によっては定例会とか引き継ぎで他の教員に共有することがあるかもだけど、試験的には個人的に相談した内容を広めるのはダメってことなんでしょうね。
 この選択肢は間違いです。

 選択肢4
 これが正しい。
 日本語教師は簡単なサポートくらいはできるけど、専門的なサポートはできないから自分がどこまで対応できるか知ること、それからいざとなったら専門家に引き継ぐこと。これは重要です。

 答えは4です。

問3 情緒的サポート

 この問題は一旦飛ばします。改めてちゃんと勉強してから書きます。
 答えは1です。

問4 エポケー

 エポケーは「判断保留」。そう覚えてください。

 ソンさんは悲しんでます。もしかしたらリーさんに怒ってるかもしれないです。そんな相談を受けて教師が選択肢1のように同調したらリーさんが共通の敵になっちゃう。選択肢2のように言ったら判断保留じゃなくてアドバイスになっちゃう。選択肢3のように言ったらこれもリーさんが悪者に。エポケーは判断保留、私のイメージは物事を前進させないこと。
 選択肢4はただソンさんの言ったことを繰り返すだけで話が進んでません。同調もしてないし、非同調もしてない。これがエポケー。

 答えは4です。

 ※ちなみにエポケーをちゃんと知るために、問題文にある「現象学」の本を読んだことがあるんです。でも現象学って私からしたら本当にヤバイ学問です。あの本私読んで何一つ分からなかった。怖いです。

問5 異文化間対人関係を構築する

 日本語学校あるあるというか、海外で生活する人あるあるだけど、カルチャーショックがひどすぎると滞在国の文化を卑下したり、嫌いになったり、帰りたいって思うようになったりします。あらかじめ異文化では人はどのような状況に陥るのかなどを勉強しておけば、今自分の身に何が起こっているのかを客観的に見ることができるようになってカルチャーショックが軽減されたりするんですけど、ほとんどの人はそういうことを知らない状態でカルチャーショックを経験します。私もそうだったなあ…

 選択肢1
 正しい記述です。異文化の人と接触すると、自文化の人からは得られない刺激が得られます。それはカルチャーショック期の人にとっては本当に嫌なことかもしれないですが、カルチャーショックを乗り越えて適応していくためには必要なことでもあります。だから最終的にはプラスかもしれないよ?

 選択肢2
 これは文化化の記述です。
 私たち日本語母語話者は日本に生まれて、周りの人から日本の文化を学んで身につけてきました。その文化の中で文化特有のあれこれを身につけることを文化化と言います。これは海外で生活するときも同じです。初めは辛いかもしれませんが、時間をかけて滞在国の文化を身につけていく文化化のプロセスが適応するには必要です。文化化の知識があれば異文化での対応がまた違ったものになると思います。

 選択肢3
 相手の文化をより重視するとか、そういう自文化中心主義的な考えにならなくてもいいです。できれば文化相対主義的に、自文化を維持しつつ、そこに滞在国の文化をうまーく取り入れていければいいですね。
 この選択肢は間違いです。

 選択肢4
 正しい記述。

 答えは3です。




2023年10月30日令和5年度, 日本語教育能力検定試験