令和5年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅱ 問題6解説

1番 わりはし

 「わりばし」が「わりはし」に。連濁してませんね!
 答えはcです。

 ちなみに転音は「雨(あめ)」と「あま」のようなやつ。母音交替ともいいます。
 音位転換は「ふんいき」が「ふいんき」になるやつ。
 連声は「かんおん」が「かんのん(観音)」になるやつ。

2番 了解する

 「互いの文化を了解する」と言ってますね。これは中国母語話者によくある語彙の領域で起きた負の転移によるエラーです。
 動詞が「理解する」だったらいいんですけど。
 答えはdです。

3番 帰れられるか

 「帰られるか」を「帰れられるか」と言いました。
 可能形がぐちゃぐちゃになってます。
 答えはaです。

4番 しられます

 「知られています」と言うべきなのに「知られます」と言いました。
 「ている」が無いんですよね。
 「ている」はアスペクト表現の一種なので答えはdです。

 アスペクト表現は簡単にいうと動作局面を表す表現のこと。
 「走っている」は「走る」という動作が今進行中の局面にあることを表しますね。だからこの「ている」は進行中のアスペクトを表す表現だ、と言われます。他にも「走るところだ」というと「走る」という動作の開始直前の局面を表せます。「~るところ」は動作の直前のアスペクトを表す表現です。

5番 でかけないでください

 「でかけないほうがいいです」が「でかけないでください」になりました。
 これらは禁止に関する表現なので、答えはbです。

 ※コメントによるとaの可能性もあるようです。

6番 貸した

 「貸した」じゃなくて「借りた」が正しい。
 動詞のミス。答えはcです。

7番 ために

 「かけるために」じゃなくてじゃなくて「かけるように」が正しいです。
 これらは目的を表す表現だから、答えはbです。

8番 助けてあげた

 「助けてくれた」が「助けてあげた」となって誤りになりました。
 まず基本用語からですが、動詞がこんな感じで「て」を介在して2つ繋がってるとき、1つ目の方を本動詞、2つ目の方を補助動詞と言います。「助けてくれた」だったら「助けて」が本動詞、「くれた」が補助動詞です。
 この人の誤りは補助動詞「~くれた」が「~あげた」になった誤り。しかも「くれる」「あげる」などの授受動詞も混同してます。

 答えはbです。




2023年10月28日令和5年度, 日本語教育能力検定試験