中国語では「かゆい」と「くすぐったい」を区別しない

「かゆい」と「くすぐったい」

 日本語では、蚊に刺されたとき、肌を虫に這われたとき、何日もお風呂に入ってなくて頭が… なんていうときに「痒い(かゆい)」を使い、誰かに脇腹をくすぐられたり、足の裏を触られたりしたときに「くすぐったい」を使います。日本語母語話者にとっては当たり前の違いですが、中国語ではこの2つを区別することなく、どちらも 痒(Yǎng) で表します。

 (1) 蚊に刺されたら、痒くなる。
     (被蚊子叮咬的话会很。)
 (2) 虫に触ったせいで痒い
     (不小心碰到虫子之后很。)
 (3) 汗かいて、頭が痒い
     (头出汗了,很。)
 (4) 何だか分からないけど、背中が痒い
     (不知道怎么回事,背后很。)
 (5) 夏は股間が痒くなる。
     (夏天下半身会很。)
 (6) 脇腹をくすぐられて、くすぐったい
     (被挠痒痒,很。)
 (7) 足の裏を触られるとくすぐったい
     (被摸到脚底心,很。)

 (1)~(5)は日本語の「痒い」、(6)(7)は「くすぐったい」を用いた例文ですが、いずれの中国語訳でも 痒(Yǎng) が現れます。
 中国語母語話者に聞いてみたら、日本語では物理的な刺激によらない場合は「痒い」、物理的な刺激によってそういう感覚を感じる場合は「くすぐったい」を使うんだよね? って言ってました。なるほど、言われてみると「痒い」は何もされてないのに肌が刺激を感じてる状態で、「くすぐったい」は誰かに触られたりして肌が刺激を感じてる状態なんだ。誰かに触られてるかどうかで事象を区別したのが日本語、それにとらわれず同じ刺激として捉えたのが中国語ってことなんですね。おもしろい。




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