「音」と「声」はどう使い分ける?
疑問

質問者さん(中国)
混乱しています。

管理人
「音」と「声」
中国を母語とする日本語学習者はよく「音」と「声」の使い分けを間違えます。中国語では日本語の「音」も「声」も一緒で「声音」と言うからしょうがないといえばしょうがない…
空気を伝わる物の振動を聴覚器官が感じ取ったとき、それを「音」と言います。例えば、誰かが歩くときの音は「足音」、雨が屋根とか地面とかに落ちる音は「雨音」、蚊とか虫が飛ぶときの音は「羽音」などなど… 基本的に人や動物以外から発せられたものは「音」です。
(1) 風が吹きつける音がする。
(2) どこかでお金が落ちた音が聞こえた。
(3) 雷が落ちる音が怖い。
人や動物が発声器官を使って出すのは「声」です。猫が鳴いたらそれは「鳴き声」、歌は「歌声」、生まれたばかりの赤ちゃんのは「産声」、大音量の声は「大声」とか「叫び声」とか。基本的には人や動物に「声」を使います。ちなみに動物は「声」もいいし、「鳴き声」もいいです。人に「鳴き声」はダメだけど。
(4) 彼は大きな声で叫んだ。
(5) 遠くで犬が鳴いている声がする。
(6) 聞こえないので大きい声で話してください。
(7) 幽霊の声がする。
(8) 人形から声が聞こえた。
(9) AIの歌声はもはや人間の声と聞き分けがつかないレベルになった。
幽霊や人形、AIなどは人じゃないけど「声」が使われたりします。人の形をしてると感じたり、人として認識できるものにはこうやって「声」が用いられます。ロボットや神などもそうです。
「声」には擬人法としての使い方があります!
実際に音を発しているのは人でも動物でもないのに「声」を使うときがあって、こんなのを擬人法と呼んでいます。物を人に喩えて生きてるかのように扱い、詩的な表現になりやすいです。この使い方は基本から外れてるのであんまり気にしなくていいです。
(10) 風の声が聞こえる。
(11) 天の声に従う。
(12) 心の声に耳を傾ける。
「音」か「声」の使い分け 応用編
ラジオで人が話していたら、ラジオは機械だから「音」、でも人が話してるから「声」、どっちか迷うかもしれません。実は「音」も「声」も使うことができて、その場合は指し示す対象がちょっと変わってきます。
(13) この人、良い声だね。
(ラジオ内で話している人の声を指す)
(14) あんまり聞こえないから、音上げてくれる?
(ラジオの音量を指す)
ラジオのボリュームを上げたい場合はラジオの「音上げて」、人について言及する場合は「良い声だね」です。ここでも人は「声」、それ以外は「音」という原則に従っています。