敬語の分類について

敬語の分類について

 従来の敬語は尊敬語*、謙譲語*、丁寧語*の3つに分類されていて、尊敬語*は行為や状態の主体である人物を高める表現、謙譲語*は行為の主体である人物をへりくだらせることでその行為の向かう先の人物を高める表現、丁寧語*は話し手が改まったスタイルで話していることを表し、それによって結果的に話し手から聞き手への敬意を示す表現でした。その後文化庁は平成19年に発表した「敬語の指針」で敬語の働きと適切な使い方を捉え直すため、謙譲語*を謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱに、丁寧語*は丁寧語と美化語に細分化し、5分類となっています。試験もこの5分類から出題されています。

3分類 5分類 機能 素材/対者
尊敬語* 尊敬語 相手側又は第三者の行為・ものごと・状態などについて、その物を立てて述べるもの。 素材敬語
話題の人物を高める敬語
謙譲語* 謙譲語Ⅰ 自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの。
謙譲語Ⅱ
(丁重語)
自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。 対者敬語
話している相手に丁重に述べる
丁寧語* 丁寧語 話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの。
美化語 ものごとを、美化して述べるもの。

 ※素材敬語と対者敬語の分類は森山卓郎,渋谷勝己(2020)「明解日本語学辞典」三省堂 48-50ページを参考

謙譲語*が謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱに分かれる

 従来謙譲語*に分類されていたものの中には、行為の向かう先の人物を高める機能をもたず、行為の主体である人物をへりくだらせることが中心的機能のものがあります。例えば「参る」。へりくだるだけで行為の向かう先の人物を高めないので、(2)のように目上の「社長」にも、高めるべきではない人物「家族」などにも使えます。これを謙譲語*と区別して謙譲語Ⅱ(丁重語)としました。

 (1) 私は今から社長のところに伺います。  (謙譲語Ⅰ)
     行為の主体「私」をへりくだらせ、行為の向かう先「社長」を高めるもの。
 
 (2) 私は今から(社長 or 家族)のところに参ります。  (謙譲語Ⅱ)
     行為の主体「私」をへりくだっているだけ。
     行為の向かう先「社長」や「家族」を高めているわけではない。
 
 (3) 電車が参ります。  (謙譲語Ⅱ)
     行為の主体「電車」をへりくだらせているわけではなく、「来る」に対する丁重な表現

 さらに謙譲語Ⅱは行為の主体をへりくだらせる機能よりも、表現の丁重さ(格式の高さ)を表すことに機能の中心を置くときもあります。例えば(3)は行為の主体「電車」をへりくだらせているわけではなく、「来る」に対する丁重な表現としての「参る」が用いられています。

丁寧語*が丁寧語と美化語に分かれる

 丁寧語*は上位者である聞き手に敬意を示すものですが、丁寧語*の中には「風呂」に対する「お風呂」、「水」に対する「お水」のように聞き手への敬意を表さず、話し手が自分の言葉遣いを上品にするために用いるものがあり、これは丁寧語*と区別して美化語としました。




日本語教育能力検定試験, 用語・まとめ