「お店に売っている」と「お店で売っている」の違いは何?

疑問

質問者さん
(中国)

「お店売っている」と「お店売っている」はどう違いますか?

管理人

どちらも同じ「売っている」ですが、存在動詞として使われている場合はその存在場所を「に」で表し、動作動詞として使われている場合はその動作場所を「で」で表します。したがって、「お店売っている」というときは、売り物の存在場所が「お店」という意味です。「お店売っている」というときは、誰かが何かを売るという動作の場所が「お店」という意味です。

 

「お店に売っている」は存在

 【存在場所】に【存在主体】が【存在動詞】
 (1) 机の上にりんごがある。
 (2) 駐車場に猫がいる。

 日本語の存在構文はこんな文型をとります。代表的な存在動詞は「ある」とか「いる」で、その存在場所を「に」で、存在主体を「が」で表します。でも存在動詞は「ある」とか「いる」だけじゃなく、身近に意外とたくさんあります。

 (3) お店にPS5が売っている
 (4) 空に飛行機が飛んでいる
 (5) 彼はアメリカに住んでいる
 (6) 部屋にほこりが舞っている
 (7) 庭に花が咲いている

 このようなのも「ある」「いる」じゃないですが存在動詞として使われています。その証拠に存在構文と同じく、その存在場所を「に」で、存在主体を「が」で表しています。だから「お店に売っている」の「に」は存在場所を表していて、このときの「売っている」は「ある」に近い、存在を表す動詞になっています。

 

「お店で売っている」は動作

 【動作場所】で【人】が【物】を売っている
 (8) お店で店員さんが時計を売っている。
 (9) 道端で男が薬を売っている。

 「お店で売っている」というときの「売っている」は動作で、その動作を行う主体を「が」で、売る対象を「を」で表します。動作を表す動詞は、その動作場所を表すときに「で」を使います。(8)(9)の「お店」や「道端」は「売る」という動作が行われる場所ですね!

 

まとめ

 「お店に売っている」と「お店で売っている」は「に」と「で」の一文字しか違いませんが、構文を見ると明らかに違います。

 【存在場所】に【存在主体】が売っている
 【動作場所】で【人】が【物】を売っている

 同じ「売っている」でも存在動詞として使われている場合もあれば、動作動詞として使われている場合もあります。存在動詞として使われている場合はその存在場所を「に」で表し、動作動詞として使われている場合はその動作場所を「で」で表します。




2023年5月15日日本語TIPS, 日本語の疑問