2022.10.27 基本語順と曲用

 いろんな分野の話を聞く横断的な講義の中で、昨日は世界の言語の基本語順についての話を聞きました。最も多い語順はSOV型で48.5%、次はSVO型で38.7%と続きます。S、O、Vの語順で言語を分類しようとするものだから、その組み合わせは6通りあるわけですが、例えばサイコロを振った時、1の目が出る確率は1/6で約16.6%の確率です。じゃあなぜSOVもSVOもOSVもOVSも16.6%くらいじゃないんだろう? っていう疑問。もう一度言語を作ってくださいって言ったら1/6でそれぞれの語順に振り分けられるはず。でも世界の言語を見るとそうはなってません。
 そこで説明されたのが人の認知と語順の関係。例えばAさんがBさんを殴る事態を捉えるとき、まずは「殴る」という動作を行うAさんが認知的に際立ち、殴ったあとは殴られたBさんが際立ちます。動きの流れの中、その順序が語順に反映されているから主語が一番最初に来る言語が多いと言われてました。ということは世界中の言語を全て無くして、「さあもう一度言葉を作ってみて人類!」と神様のなせるわざをやったとしても、結局はSOVやSVOが多くなってしまうんだろうと思われます。これは面白いことを聞いた。私の研究とは関係ないけど、こういう話はいくら聞いても面白い。

 話は分かるけど次は術語の定義に関すること。
 授業で語幹、語基、語根の違いについて議論しました。私の理解と先生の理解は全く違ったので私自身は反省したんですが、先生は考え方が一貫していれば定義なんて何でもいいと言い切りました。いろんな人の定義に触れて自分の定義を確立すればいいし、それで相手と意思疎通ができなかったら自分が相手の定義を使って話せばいい、定義の問題になると水掛け論になるからそれは良いそれは良くないという話は建設的ではないと言ってました。研究で重要なことは定義よりも先のこと。なるほどと思いました。正しい定義ばっかり探してきましたけど、確かにいろんな論文読んでみても定義は人によって違ってます。それを許容するんだなあ。たくさん文献に触れていれば何か相手に伝えたいときは一番よく使われている定義で書くこともできるし、自分の論述をするなら自分の定義を使えばいいし。結構柔軟なんだなと思った。

 それから「名詞の活用」とかいう日本語には”存在しない”パワーワードにも触れました。これは曲用と呼ばれている屈折の一種です。名詞の活用ってなんか燃える氷みたいな矛盾を感じるんですけど、世界の言語にはそういうのもあるようでした。これは日本語教師ならまず知らない、っていうか要らない知識だ… 毎週何か発見があって、それは一人で勉強してると絶対知り得なかったものだから大学院に来てよかったと思ってます。




大学院での生活