令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題14解説

問1 CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)

 CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の話なんだから「欧州評議会」。
 答えは1です。

問2 複言語・複文化主義

 佐藤らの『「複言語・複文化主義能力」と言語・文化の流動性、ハイブリッド性』からの引用。

 複言語・複文化能力とは、複数の言語を用いる力-ただし力のレベルはさまざま-と、複数の文化の経験とをもつことで、社会的なエージェントとして、コミュニケーションおよび相互文化的インターアクションに参与するための、一個人の能力を指す。そしてこの能力の存在のあり方は、複数の能力が縦列または並列しているのではなく、複雑でより複合的に存在している
 (Council of Europe,2001,p. 168)

 答えは2です。



問3 CEFRの考え方

 真嶋(2019)『外国語教育における到達度評価制度について ~CEFR初版2001から2018補遺版CEFR-CVまで~』にはこのような記述があります。

 また、学習者観も、従来の外国語学習者を「知識を持たない空っぽの人」と見るのでなく、世界に関する知識も経験も他言語能力も持った「社会的行為者(Social agent)」であり、学習内容や計画にも考えをもった「自律的学習者)」とみなす

 社会的行為者は社会的存在とも呼ばれているみたい。英語が同じで「social agent」でした。
 答えは4です。

問4 共通参照レベル

 まずはこれを見たほうがいいです。
 CEFR 共通参照レベル:全体的な尺度

 レベルを低い順から「基礎段階の言語使用者」「自立した言語使用者」「熟達した言語使用者」の3つに分けて、それぞれがさらに2つのレベルに分けられます。全6段階で低い順からA1、A2、B1、B2、C1、C2となります。これと全く同じ記述が選択肢4に!

 答えは4です。

問5 ヨーロッパ言語ポートフォリオ

 ヨーロッパ言語ポートフォリオって何、知らないわ…
 でも1.4 ヨーロッパ言語ポートフォリオ(European Language Prtfollio: ELP)がめっちゃ参考になります。

 ヨーロッパ言語ポートフォリオ(European Language Portfolio、以下ELP)は、欧州評議会と「言語のためのヨーロッパ共通参照枠」(以下、CEFR)の理念を教育現場で実現するための道具である。ELPは、言語能力をヨーロッパ共通の尺度で自己評価し異言語・異文化体験を簡潔に示す「言語パスポート(Language Passport)」、言語能力のほか、言語学習履歴や学習目標、異文化・異言語体験を詳細に記録する「言語バイオグラフィー(Language Biography)」、学習成果や検定証明書を保存する「資料集(Dossier)」の3つで構成される。
 - 引用元:https://jfstandard.jp/pdf/trial04-2.pdf

 選択肢1

 転校する、進学する、言語コースが始まる、キャリアアドバイザーと会う、就職活動をするといった機会に、自己の言語能力を示すためにELPを提示することができる。

 56ページにはこのような記載。この選択肢は合ってます。

 選択肢2

 ある特定の学習者グループそれぞれに適したELPが、ヨーロッパ各地で開発されている。

 54ページにはこの記載。全域で書式が統一されているということはなさそう。

 選択肢3

 公的試験で与えられる言語に関する資格を補足するものとして、ELP所有者の具体的な言語学習経験、外国語の熟達度、到達度を示す

 54ページにはこの記載があるのでこれは正しい選択肢。

 選択肢4

 学習者が習得した言語的技能、文化的技能の記録ができるものを提供する

 54ページにはこの記載。この選択肢も正しいです。

 したがって答えは2です。
 コメントでのご協力ありがとうございました!




2022年10月31日令和4年度, 日本語教育能力検定試験