令和4年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題9解説
問1 形式スキーマ
読解に活用されるスキーマは、形式スキーマと内容スキーマに分けられます。この2つを用いて読み進めていきます。
形式スキーマ | テキストの文章構造、言語形式に関する知識のこと。論文、説明文、小説、新聞、詩などにおける文章構造、展開の違いについての知識や形式に関する知識。 |
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内容スキーマ | 読み手自身の経験や知識から構成された、社会的・文化的に関する背景知識のこと。お店、病院、経済、歴史などなど… |
1 内容スキーマ
2 ?
3 ?
4 形式スキーマ
答えは4です。
問2 橋渡し推論
文章中に明示されていない情報を予想することを推論といいます。推論は2つに分けられます。
橋渡し推論 | 直接表現されていないことを、文脈や既有知識によって理解すること。例えば、「向こうで一輪車を練習してた子供が大きい声で泣いていた。私は近づいて、『大丈夫?』と声をかけた。」では、「子供は一輪車から落ちて怪我をした」という推測がこれ。橋渡し推論は読解中に常に行われており、正しく推論できなければ理解に大きな支障が生じる。 |
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精緻化推論 | 文章から読み取った事柄をもとに具体的なイメージを膨らませること。主人公の顔、髪型、表情、性格、様子を想像したりするのがこれにあたるが、実際想像したイメージは人によって異なる。橋渡し推論とは異なり、精緻化推論はできなくても理解には影響しない。 |
選択肢1
「傷が痛む」といって、次の文で「猫」が出てきています。この文を読むと、この傷は猫がやったんじゃないか?ってみなさん思うはずです。でも文中には「猫に手を引っかかれた」なんてことは書かれていません。だから猫に引っかかれたと思っているのは皆さんの勝手な想像です。勝手な想像なんですけど、100人中100人がそう思うんです。
こういうタイプの推論は橋渡し推論です。
選択肢2
いい天気かどうかは具体的な推論。仮に悪い天気をイメージしたとしても文章理解には影響しません。この類の推論は精緻化推論です。
選択肢3
その後の展開がどんなであるかは人によって違うはず。しかもどんな推論をしたとしてもこの文の文章理解には影響しません。この類の推論は精緻化推論です。
選択肢4
女性が何と言ったか想像するのは自由。この文の文章理解には影響しないので精緻化推論。
したがって答えは1です。
問3 認知資源
認知資源と聞いて思い出したのは外国語副作用。慣れていない外国語を話すとき、日本語から外国語に翻訳をして、どんな発音か確認して、語と語の接続を考えて… といろいろ処理しないといけません。そうすると頭の中にある処理資源をたくさん使ってしまって、他のことができなくなってしまうというのが外国語副作用。これに限らず、めちゃくちゃ集中しなければならない作業、例えば計算とかしてるときは他のことができなくなったりします。抽象的ですけど、頭の中にはパソコンのメモリのようなものがあって、それを処理資源、あるいは認知資源って呼んでます。
1 エピソード記憶
2 これが認知資源、処理資源
3 意味記憶
4 感覚記憶
したがって答えは2です。
問4 リスニングスパンテスト
リーディングスパンテストもリスニングスパンテストも初めて試験に出てきた用語で私も初めて聞きました。でも問題文を読むと、認知資源の量を測るテストだってことが何となく分かります。おそらく何か文章を読ませて、その後すぐに同じものを再生できるかどうかを試験するのだと思います。そうしてワーキングメモリの量を測るテストです。調べたら確かにそんな感じでした。
1 ディクテーション (コメントありがとうございます!)
2 ディクトグロス
3 リスニングスパンテスト(聴解)
4 リーディングスパンテスト(読解)
答えは3です。
※リスニングスパンテストは文頭のを覚えておくって論文もあったんですけど、文末もあるんですかね。
問5 カルテルパーティー効果
確か、パーティのような人が多いところでガヤガヤしてても自分の名前だけはよく聞こえて、そしたらその人の話もちゃんと聞こえちゃうみたいな現象ですね。
1 よくわかんない
2 これがカクテルパーティー
3 わかんない
4 プライミング効果?
答えは2です。