「柔らかい」と「軟らかい」の違いは何?
疑問

質問者さん(中国)

管理人
力を加えても形が元に戻るような場合は「柔らかい」、力を加えたら形が元に戻らない場合は「軟らかい」を使うといいです!
ナ形容詞の「やわらか(な)」についても同じ使い方をします。
「柔らかい」の使い方
「柔」はしなやかさや弾力性があるようなものに使いやすくて、押したり潰そうとしてもその弾力性から形状が元に戻ります。風船とかふんわりしたタオルとかしなやかな体とか、そんなものに「柔」を使います。
明鏡国語辞典によると、次の4つの用法があります。
①【柔】力のままに変形するが、すぐにもとに戻る性質がある。柔軟で弾力性がある。
②【柔】体がしなやかに曲がったり滑らかに動いたりする。
③【柔】布地や動物の体毛などが穏やかな感触をもっている。
④【柔】物事や態度が穏やかで心地よい感じを与える。
1つ目、2つ目、3つ目の用法は力を加えても元に戻る場合です。その性質を抽象的な概念にも用いたのが4つ目の用法。例えば、人の性格や表情、雰囲気、頭や思考、楽器の音色とかにも使えます。
(1) 柔らかい頬
(2) 柔らかい二の腕
(3) 体が柔らかい
(4) 柔らかい筋肉
(5) 柔らかな布団
(6) 手触りが柔らかい。
(7) 彼女の性格は柔らかい。
(8) 雰囲気が柔らかい。
(9) ピアノの柔らかな音
(10) 頭が柔らかい。
(11) 柔らかい朝日に包まれて起きる。
「軟らかい」の使い方
「軟」は力を加えると形状が崩れてしまって元に戻らないようなものに使いやすいです。物なら手ごたえがなく、食べ物なら歯ごたえがないような感じ。角煮とか粘土とか、そんなものに「軟」を使います。
こちらも次の4つの用法があります。
①【柔・軟】固さの程度が小さく、力のままに変形したり壊れたり曲がったりするさま。
②【軟】表現などがしなやかで、こわばったところがない。
③【軟】内容が娯楽的・世俗的なさま。
④【軟】考えに適応力があり、融通がよく利く。
1つ目の用法が力を加えると形が変わっちゃう場合。その性質を抽象的な概念にも用いたのが2つ目、3つ目、4つ目の用法です。例えば、文章や表現、話題や言葉遣いなど。ちなみに明鏡には④の例として「頭が軟らかい」と書かれていますが、使用実態からしても「頭」には「柔らかい」を使うことが多そう。『「異字同訓」の漢字の使い分け例』にもそのように書かれています。
(12) 軟らかいお肉
(13) 野菜を軟らかく煮る。
(14) 軟らかい文章
(15) 地盤が軟らかい。
(16) 軟らかな話
(17) 頭が軟らかい。 → 頭が柔らかい。