使役の意味を持つ「~てもらう」とは?
疑問

質問者さん(日本)
①息子に迎えに来てもらった
②先生に本を貸してもらった
③部下に説明してもらった
④電気屋に修理してもらった
観点の異なるものは②だそうです。「使役」とあるので、①「来させる」③「説明させた」④「修理させた」と言い換えることが可能です。ところが②は言い換えがしにくいので、正解とするのでしょうか。

管理人
詳細
典型的な使役は使役者が被使役者に何らかの行為を強制することを表します。被使役者よりも使役者のほうが立場が高い場合は、仮にお願いであっても強制力が高まります。①③④は形式上「~してもらった」を使っていますが、実際は被使役者に行為を強制させるような使役になっています。
①親と息子という関係 →親のお願いにはある程度強制力がある(強めの使役)
③上司と部下の関係 →上司のお願いには強制力がある(強めの使役)
④お客さんとお店の関係 →お客さんのお願いには強制力がある(強めの使役)
①「来させる」③「説明させた」④「修理させた」と使役形に言い換えられるのはこのような仕組みだからです。
ところが②はそうではありません。先生と学生の関係ではありますが、目下である学生が目上の先生にお願いをして、先生が許可した結果本を貸した。言い換えて「本を貸してもらった」となっています。学生は先生に本を貸すことを強制しているわけではありません。その証拠として使役形に言い換えることはできません。だから答えは②です。
ちなみに… ご質問のように①③④は使役形「させる」を用いて言うことができるんですが、この問題では「させる」を回避して「~てもらう」を使っています。
①息子に迎えに来てもらった ⇔ 息子に迎えに来させた
③部下に説明してもらった ⇔ 部下に説明させた
④電気屋に修理してもらった ⇔ 電気屋に修理させた
「させる」を使うと、仮に立場が上の者であっても強制的かつ尊大な感じがすると思います。そういったニュアンスを取り除くために「~てもらう」が代用されます。こうすると聞き手や聞き手以外に対する配慮がうかがえ、全体的に柔らかい言い方になり、行動の決定権を相手に委ねるような言い方に変わります。このような性質から、「させる」は尊大使役文、「~てもらう」は謙譲使役文と呼ばれたりもします。
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