【新案】動詞のグループを辞書形から判別する!

日本語教師のお仕事

 ナイ形にすると動詞のグループを見分けられるって言うけど、このやり方は膨大な母語の知識を持っている日本語母語話者にしかできなくて、そもそも日本語学習者はその動詞のグループが分からないとナイ形にできません。「混じる」を五段動詞とみなして「混じらない」とするか、一段動詞とみなして「混じない」とするか。これまで生きてきた中で「混じらない」を聞いたことがあるから「混じる」は五段動詞だと判別できるのは母語話者の特権なんです。だから日本語学習者は大変です。そんな皆さんを助けたい。

【結果】動詞辞書形からグループを判別する方法

 こちら5148の動詞データを使って辞書形からグループを判別する良い方法を模索したところ、次のようになりました!

 この判別法を使えば約30の例外を除いて正しく判別できます! あとは例外たちをどうするかですが… 30の動詞は全て日常的に使うわけもなく覚えなくてもいい動詞もあります。それらを省いて初級でもでてくるような動詞だけ集めるとこうなりました。

【例外の一段動詞たち】
居る、着る、出る、煮る、似る、寝る、見る

 こいつらが例外の一段動詞だと覚えておけば、この判別方法は上級になっても十分通用します。
 覚え方も考えてみました!

 私と【似た】人が【寝て】【いる】。
 その人は私を【見た】。
 私は服を【着て】家を【出た】。

 ぜひ使ってみてください。
 いろいろ注意点もありますので、ここからは一つずつ説明していきます。

 

STEP1 サ変動詞とカ変動詞を見極める

 まず、不規則な活用をするサ変動詞「する」とカ変動詞「来る」は簡単なので一番最初に判別しておきます。

(1) 料理をする   (サ変動詞)
(2) パソコンをする (サ変動詞)
(3) 結婚する    (サ変動詞)
(4) 恋する     (サ変動詞)
(5) 揺する     (五段動詞)
(6) こする     (五段動詞)

 例文(1)~(4)のように「名詞+(を)する」の形をとるのはサ変動詞。この「を」は話し言葉において省略されやすいです。
 例文(5)(6)にも「する」がついていますが、これはサ変動詞ではなく五段動詞です。私調べでは「する」がついているのにサ変動詞じゃなかったのはこれだけありました。

掠る(かする)、擦る(こする)、摩る(さする)、擦る(さする)、啜る(すする)、擦る(なする)、揺する(ゆする)

 「1拍+する」は全て五段動詞。サ変動詞は全て「2拍以上+する」でした。この段階で5148の動詞のうち2169がカ変動詞とサ変動詞として判別可能。残りの2979は五段動詞と一段動詞です。

 

STEP2 辞書形が「る」で終わるかどうか

 カ変動詞とサ変動詞を除いたらあとは五段動詞と一段動詞。
 動詞辞書形の末尾音に着目すると、五段動詞は「うくすつぬむるぐぶ」で終わるものがあり、一段動詞は必ず「る」で終わります。したがって「る」で終わらない動詞は必ず五段動詞だと分かります。

【一段動詞】
変じ、呆け、惚け、報じ、吠え、歪め、委ね、茹で、弛め

【五段動詞】
買う、書く、貸す、勝つ、死ぬ、噛む、狩、嗅ぐ、結ぶ…

 五段動詞の中には「狩る」「折る」「混じる」などの「る」で終わるものもありますから、これらがこの時点の例外です。「る」で終わらない五段動詞たちは除外し、2979から1619に絞れました。

 

STEP3 「る」の前の音がア段、ウ段、オ段の音かどうか

 一段動詞は全て「る」で終わり、五段動詞の中にも「る」で終わるものがあります。これらを判別するためには「る」の前の音を見てみると良いです。一段動詞は語幹の末尾音が /i/ か /e/ で終わり、活用において必ずイ段かエ段の音が現れます。これは五段動詞にはない特徴。調べてみたら「得る(うる)」だけを除き、「る」の前の音がア段、ウ段、オ段の音なら全て五段動詞だということが分かりました。そこで、「る」の前の音がア段、ウ段、オ段かどうかで五段動詞を判別します。

【一段動詞】
る、冷る、食る、逃る、甘る、変る、占る、消る…

【五段動詞】
祝う(いう)、混じる(まる)、隠す(かす)、うる、治る(なる)…

 こうすると1619から1049まで絞れました。
 しかし… 五段動詞の中には「る」の前の音がイ段かエ段のものも存在します。これらの存在は例外。1049の中には次の121の例外的な五段動詞が含まれています。

焦る、弄る、煎る、要る、陥る、阿る、孵る、帰る、還る、返る、限る、陰る、齧る、軋る、伐る、切る、斬る、覆る、蹴る、抉る、遮る、繁る、茂る、湿る、喋る、知る、滑る、競る、謗る、譏る、滾る、猛る、契る、散る、照る、詰る、握る、捩る、練る、罵る、入る、奔る、走る、捻る、翻る、減る、熱る、迸る、参る、漲る、毟る、捩る、過る、捩る、うねる、裏切る、貸切る、区切る、句切る、愚痴る、くねる、仕切る、〆きる、〆切る、締切る、千切る、ちびる、寝入る、寝返る、値切る、捻じる、のめる、率いる、火照る、間切る、交じる、混じる、見返る、見限る、見切る、見知る、過ぎる、攀じる、呆れ返る、思いきる、思い切る、掻き毟る、搔き毟る、貸しきる、貸し切る、刈り切る、駆り切る、しくじる、絞めきる、絞め切る、締めきる、締め切る、閉めきる、閉め切る、煮え返る、煮え滾る、ねじ切る、捩じ切る、捻じ切る、踏み躙る、振り返る、割り切る、呆れかえる、掻きむしる、静まり返る、煮えかえる、煮えたぎる、踏みにじる、静まりかえる、煮えくり返る、煮え繰り返る、ひっくり返る、引っくり返る、引っ繰り返る、曲がりくねる、煮えくりかえる

 

STEP4 「漢字1字+る」は五段動詞、それ以外は一段動詞!

 ↑の121の例外的な五段動詞を見てみると「漢字1字+る」の形を取っている動詞が多いことが分かります。そうではない動詞も多いように見えますが、「裏+切る」「区+切る」「火+照る」「見+限る」「呆れ+返る」「割り+切る」のような複合動詞が多く、その後部要素はやっぱり「漢字1字+る」の形です。この点に着目します。

 「漢字1字+る」だったら五段動詞、それ以外は一段動詞と仮定してみましょう。(複合動詞は後部要素だけ見る)
 そうすると… 残り1049の動詞からわずか30の例外にまで絞ることができました! これが私の限界。

【「漢字1字+る」だけど例外的に一段動詞のもの】
鋳る、居る、射る、獲る(える)、得る(える)、惟る(おもんみる)、着る、出る、煮る、似る、寝る、干る(ひる)、経る、診る、観る、見る、看る、咽る(むせる)

【「漢字1字+る」じゃないけど例外的に五段動詞のもの】
うねる、翔ける、くねる、しくじる、ちびる、寝入る(ねいる)、捻じる(ねじる)、のめる、混じる(まじる)、交じる(まじる)、過ぎる(よぎる)

 ※メモる、事故る、愚痴る等は名詞を動詞化する「る」をつけていて、「名詞+る」の形を取っています。これらは五段動詞と判断します。

 

学生に教えるときはどうすればいい?

 ①「る」で終わらないなら五段動詞。それ以外は②へ
 ②「る」の前の音がア、ウ、オ段なら五段動詞。それ以外は③へ
 ③「漢字1字+る」なら五段動詞、それ以外は一段動詞

 この判別法を使えば約30の例外を除いて正しく判別できました。問題はその例外をどうするかですが… 30の動詞は全て日常的に使うわけもなく覚えなくてもいい動詞もあります。それらを省いて初級でもでてくるような動詞だけ集めるとこうなりました。

【「漢字1字+る」だけど例外的に一段動詞のもの】
居る、着る、出る、煮る、似る、寝る、見る

【「漢字1字+る」じゃないけど例外的に五段動詞のもの】
混じる(まじる)、交じる(まじる)

 覚え方も考えてみました!

 私と【似た】人が【寝て】【いる】。
 その人は私を【見た】。
 私は服を【着て】家を【出た】。

 【 】の中の動詞が全部一段動詞です。こんな感じでストーリーにすると覚えやすいかなと思って。






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