令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題9解説

問1 留学生の進路状況

 こちらに資料があります。
 参考:外国人留学生進路状況・学位授与状況調査

 「日本の大学(大学院)・短期大学・専門学校等」とは、上記表の博士課程、修士課程、専門職学位過程、大学(学部)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、準備教育課程のことです。

 「進学・就職等」を選んだ人の割合ですが、これが上記表の就職、進学、その他のことです。

 つまり右下の75.6%が答え。
 答えは4です。

 

問2 内集団バイアス

 内集団バイアスについては、平成27年度 試験Ⅰ 問題8の問題文に簡易的な説明があります。

 自分が所属する内集団とそれ以外の外集団の間に境界線が引かれると、内集団に好意を示して優遇する傾向が生じます。結果内集団が「優れている」と知覚しやすくなり、外集団に対する偏見や差別が生まれます。これが内集団バイアスです。

 選択肢3の記述がそれ。
 したがって答えは3です。



問3 集団間接触

 心理学者オルポート(G.W.Allport)という名前自体は平成30年度 試験Ⅲ 問題9に一度だけ出ています。その時も接触仮説のことが書かれていました。

 接触仮説とは、お互い地位的に平等な関係のまま接触する場面を増やすことで、集団間の衝突(コンフリクト)などのマイナスな問題が解消できるという仮説のことです。

 選択肢1
 チューターというのは指導し、指導されという上下関係があるものです。平等ではないので接触仮説に合いません。

 選択肢2
 これも一見良さそうですが、相談し、相談される対等な関係ではないのでダメ。

 選択肢3
 一番良い記述です。行事の準備などは平等な関係で行われます。

 選択肢4
 特別招待のような形で留学生を呼んでいるので微妙に対等ではなさそう。
 留学生のために演奏する感じがします。

 したがって答えは3です。

 

問4 異文化トレーニング

 異国に来てその文化に馴染めていない人や、ちゃんと馴染めるように渡航前に行うトレーニングのことを異文化トレーニングと言います。

 1 個人が適応するために、個人に対して行うトレーニングをすべき。マナーやルールの講演会は異文化トレーニングって言わない。
 2 いいですね。ロールプレイだけじゃなくて、どう思ったかなど話し合って異文化を知ることができそう。
 3 カルチャー・アシミレーターの記述。異文化トレーニングの一種。
 4 シミュレーション・ゲームの一つ。異文化トレーニングの一種。

 したがって答えは1です。

 

問5 ファシリテーター

 普通の授業だったら知識を教える教師がいるんですが、異文化トレーニングには教師はいません。代わりにファシリテーター(促進者)がいます。
 ファシリテーターは活動や参加者を支えたりするような役割をし、一方的に知識を教えたりするようなことはしません。

 1 活動の目標は当然あります。自由に活動させるのは良いですけど。
 2 これが正しい記述。
 3 ファシリテーターは用意しておいた結論を示すのではなく、参加者が自分自身の結論に辿りつけるように支えてあげます。
 4 誰も選ばなそうな選択肢。割愛はよくない。

 したがって答えは2です。

 




2022年9月23日令和3年度, 日本語教育能力検定試験