令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題13解説

2021年10月29日令和3年度, 日本語教育能力検定試験 解説

問1 ヤコブソンのやつ

 指示的機能や交話的機能という言葉が出てきてますが、これはヤコブソンが分類した言葉の機能です。

情動的機能 感嘆詞や間投詞などの相手に気持ちを伝えようとする機能。
詩的機能 言語の具体的な内容よりも、言語そのものを使って遊べる機能。俳句、リズム、音の響き、しり取り、しゃれ、早口言葉など。
能動的機能 話し手の発話によって相手を動かす機能。命令、依頼、禁止、要請など。
交話的機能 他者との関係性を構築したり維持したりする機能。挨拶、相槌、会話など。
指示的機能 出来事や事象をそのまま描写する機能。「向こうに山が見える」など。
メタ言語的機能 ある言葉が、他の言葉によって説明でき、言い換えられる機能。

 交話的機能は主に挨拶系の話で、私の覚え方としては出会いがしらとかにする何気ない会話(スモール・トーク)などがそれです。(合ってます?)
 というわけで試験中は挨拶系のやつあるかなーって思い探していました。

 で、選択肢1が挨拶系の会話、スモール・トークの類です。
 したがって答えは1です。

 

問2 ラポート・トーク

 ラポートはフランス語で「橋を架ける」という意味があります。そのようなトークというと何となく雰囲気つかめますか。
 ラポート・トークは話し相手と共感し、信頼関係を築くような話し方のことです。

 選択肢1
 これはリポート・トークの記述です。親しみを込めたような話し方をするラポート・トークの逆側にあるもので、ただ情報を伝えるような話し方のことです。ラポート・トークは女性に多く、リポート・トークは男性に多いっていう話もあります。

 選択肢2
 これがラポート・トークの記述ですね。「心理的つながりに重きを置く」がポイント。

 選択肢3
 定型表現、慣用表現などのことだと思われます。

 選択肢4
 役割語の記述です。
 読み物の中の登場人物が一人称「わし」を使っていたら、その人が髭をたくわえたおじいさんのイメージが一瞬で出てくるはずです。そういうことを言ってます。

 したがって答えは2です。

 

問3 発語内行為

 発話行為理論! オースティンのやつですね。いったんおさらいです。

 発話行為理論(言語行為論)とは、オースティン (J.L.Austin)によって提唱された、発話と発話意図が伝わるメカニズムに関する理論のことです。オースティンは、発話は発話行為、発話内行為、発話媒介行為の3種類の言語行為を同時に遂行していると考えました。

発話行為
(発語行為)
意味のある言葉を口に出して言う行為そのもののこと。 「火事だ」と叫んだときの、発話そのもの。
発話内行為
(発語内行為)
その発話の機能によって相手に意図を伝えようとすること。 「火事だ」が持つ警告の機能によって「逃げろ」という意図を伝えようとする行為。
発話媒介行為
(発語媒介行為)
発話内行為を媒介として、聞き手や第三者、自分の行動や気持ちに何らかの影響を及ぼす使役的行為のこと。 「火事だ」で警告の発話内行為を遂行し、それによって人々が逃げる。

 選択肢1
 言葉を字義通りの解釈する行為?
 「ラーメン食べたい」みたいに字義通りの意味で理解できる発話は字義的言語行為と呼びますので、そのことかなと思います。
 ちなみに「雲行きが怪しい」を気象として解釈すれば字義的言語行為ですけど、物事の状況や人生などの先行きとして解釈すればそれは非字義的言語行為になります。非字義的言語行為は言葉の裏側の意味を汲み取る必要があります。

 選択肢2
 発話媒介行為の記述(聞き手に影響を及ぼす段階)

 選択肢3
 発話行為(言葉を口にする段階)

 選択肢4
 発話内行為の記述(聞き手に意味を伝える段階)

 したがって答えは4です。

 

問4 スピーチレベルシフト

 「です」「ます」のような丁寧体と「だ」のような普通体を切り替えることスピーチレベルシフト(スピーチスタイルシフト)と言います。
 スピーチレベルシフトは本当によく出題されますね。

 1 謎の記述
 2 リペア(修復)
 3 「丁寧度を切り替える」がスピーチレベルシフトのキーワードです
 4 役割が交替する? 役割って何だろう。

 したがって答えは3です。

 

問5 疑問文を用いたストラテジー

 選択肢1
 「普通そんな言い方するか?」みたいな言い方を反語と言います。言葉そのものの意味とは反対の意味を強調して伝えたいときに使えるレトリックです。「普通そんな言い方をしないだろ」と言ってますので、非難の感じがめちゃくちゃ出てますね。これが答えです。

 選択肢2
 その人が緊張していた可能性に気付いていない相手に対して「彼は緊張していたんじゃないか」と言うと、緊張していた可能性という情報を提供する機能があります。正しいです。

 選択肢3
 「それは食えない」という主張が強めに表れていますね。

 選択肢4
 これも反語。反対の意味「こんなこと誰にもできない」を伝えようとしています。反語なので非難の気持ちが表れます。
 情報要求しているわけではありません。

 したがって答えは4です。

 





2021年10月29日令和3年度, 日本語教育能力検定試験 解説