令和3年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題1(10)解説

令和3年度, 日本語教育能力検定試験 解説

(10)タ形の意味

 こちらはテンスの問題でした。まずテンスの大枠から説明します。
 「食べる」のような動作動詞を用いた動的述語は「私はケーキを食べた」とタ形にすると、「食べる」という動作が過去に起こったことを表します。
 「ある」のような状態動詞、形容詞や名詞が述語に来る静的述語も「さっきここに本があった」「昔は可愛かった」「彼は学生だった」とタ形にすると、過去の状態を表します。
 基本的にはどんな述語もタ形にするとテンスは過去になるわけです

 ところがその中には例外も…

 選択肢1
 「追いつく」は動作動詞なので、タ形にすると過去の動作を表します。問題の「追いつけなかった」は「追いつく」という動作が過去に行われたことを否定している表現です。だからテンスは過去。

 選択肢2
 「ある」は状態動詞なので、タ形にすると過去の状態を表します。 …と言いたいところですが、「おしゃれなレストラン」は今まさに目の前に存在しています。過去の状態ではなく、現在の存在する状態です。ということはこの「あった」は何だかおかしい!
 タ形はたまに過去ではない特殊な意味を持つことがあり、これはムードの「タ」と呼ばれています。令和2年度もこれが出題されました。
 この選択肢の「あったんだ」は”発見”という分類がされており、過去から現在まで続いている状態を発見したときに使う特殊なタです。

 選択肢3
 「泳ぐ」は動作動詞なので、タ形にすると過去の動作を表します。確かにこの文における「泳いでいた」は過去に「泳ぐ」という動作が行われたことを表しています。

 選択肢4
 「生意気だ」は形容詞述語です。形容詞は状態性を持っているのでこれも状態性述語。通常はタ形で過去を表します。
 この文では確かに、彼が生意気だったのは過去、今はそうではないという意味になっています。

 選択肢5
 「悪いことをする」は動作動詞。タ形で過去の動作です。
 「悪いことをする」という動作が過去に起きています。

 
 まとめるとこうなります。
 1 過去(動作)
 2 ムードのタ(発見)
 3 過去(動作)
 4 過去(状態)
 5 過去(動作)

 したがって答えは2です。

 





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