【練習問題】(136)コミュニケーション能力
適切な表現が思い浮かばずに伝えたいことが伝えられない場面で別の言い方に言い換えることができないような学習者は、コミュニケーション能力のどの能力が欠如しているか。最も適当なものを、次の1~4の中から一つ選べ。
1 文法能力
2 談話能力
3 社会言語能力
4 方略能力
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解説
適切な表現が思い浮かばずに伝えたいことが伝えられない場面で、別の言い方に言い換えることを「言い換え」と言います。このように言語上の問題が生じた時に、それを切り抜ける戦略をコミュニケーション・ストラテジーと言います。「言い換え」はコミュニケーション・ストラテジーの一つです。
言い換え | 言えない表現を本来正しくないけど似ている表現で表したり、作り出した語で表したり、特徴や要素を描写して表すこと。 |
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借用 | 言えない単語や文全体を母語や他の言語を使って表すこと。(意識的転移) |
援助の要請 | 言えない表現を質問して教えてもらうこと。 |
身振りの使用 | 身振り手振りなどの非言語手段を用いること。 |
回避 | 使い慣れない形式や自信のない形式を使わないようにすること。より簡単な自信のある表現を選ぶこと。表現できなくなり、途中で言うのを中断すること。 |
それから、「コミュニケーション能力」はカナル&スウェイン (M.Canale & M.Swain)によって以下の4つに分類されています。
談話能力 | 言語を理解し、構成する能力。会話の始め方、その順序、終わり方などのこと。 |
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方略能力(ストラテジー能力) | コミュニケーションを円滑に行うための能力。相手の言ったことが分からなかったとき、自分の言ったことがうまく伝わらなかったときの対応の仕方のことで、ジェスチャー、言い換えなどがあてはまる。 |
社会言語能力(社会言語学的能力) | 場面や状況に応じて適切な表現を使用できる能力。 |
文法能力 | 語、文法、音声、表記などを正確に使用できる能力。 |
このうち「方略能力」がコミュニケーション・ストラテジーをうまく使えるかどうかという能力であり、まさに問題文の学習者はこの方略能力が欠如しています。
したがって答えは4です。
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