平成22年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B解説

2021年5月5日平成22年度, 日本語教育能力検定試験 解説

 平成22年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅰ 問題3B
 B【日本語・韓国語・中国語の対照音韻論】

(5)音韻的対立

 [k]は日本語のカ行音の子音、無声軟口蓋破裂音。
 [g]は日本語のガ行音の子音、有声軟口蓋破裂音。

 日本語では声帯振動が伴うかどうかで弁別されます。[k]と[g]が代表的な例です。

 しかし韓国語と中国語はそうではありません。
 問題文の[kʰ]は有気音の軟口蓋破裂音です。右上の「h」は有気音であることを表す記号です。
 この2つの言語は有気音か無気音かで音を弁別します。

 したがって答えは4です。

 参考:母音、子音とIPA(国際音声記号)について

 

(6)/N/

 韓国語と中国語(北方方言)では、[-n]と[-ŋ]の対立を持つそう。

 日本人には弁別できない中国語の音として、「an」と「ang」があります。日本人にはどちらも「アン」と聞こえますが、「an」は鼻にかからない「ン」で、「ang」は鼻にかかった「ン」で発音します。

 ということは、音素と関係ありそうです。

 [-n]と[-ŋ]は全く違う音ですが、日本人にとっては同じ「ん」に聞こえる。
 ということは音素/N/の中に異音である[-n]と[-ŋ]が含まれている、ちょうど上の図のようになっています。
 ある音素に含まれる異音は、どちらを使っても語の意味の弁別に関わりません。

 したがって答えは4です。

 

(7)開音節

 ここで開音節という言葉が出てきています。

 音節の末尾音が母音で終わるものを開音節と言います。
 例えば「ねこ」は「ね」と「こ」の2音節からなり、「ね(ne)」は母音[e]で終わっているので開音節です。
 日本語は基本母音単体か、子音+母音の形で終わる言語なので、多くの音節が開音節です。

 逆に子音で終わる音節を閉音節と言います。英語などは閉音節が非常に多い言語です。

 選択肢には特殊拍が並んでいます。
 一度特殊拍で例を考えてみましょう。

長音で終わる音節 良い(いー) この「ー」のイの長母音なので開音節。
促音で終わる音節 河童の「かっ」 「っ」は母音ではないので閉音節。
撥音で終わる音節 缶(かん) 「ん」は母音ではないので閉音節。

 長音は先行音の母音を利用して長母音となるので、日本語では常に開音節。
 したがって答えは2です。

 

(8)母音

 選択肢1
 「おかあさん」の「かあ」は母音[a]の連続なので、二重母音ではなく長母音です。
 「おにいさん」の「にい」は母音[i]の連続なので、二重母音ではなく長母音です。
 二重母音は異なる母音が連続するものです。これらに二重母音は含まれません。

 選択肢2
 日本語で母音が無声化する代表的な条件は以下の2つです。

 狭母音が無声子音の挟まれたとき
 無声子音に狭母音がついた音が語末・文末に来たとき

 ここでいう狭母音は/i/と/u/のことであり、/e/ではありません。

 選択肢3
 日本語の5つの母音の中で、 円唇音は/o/だけ。/u/は非円唇音です。

 選択肢4
 日本語では、撥音「ん」が母音に後続するとき、その「ん」は鼻母音で発音することが多いという特徴があります。
 「信用」「神話」など「ん」が鼻にかかって発音する感じがしませんか。
 この選択肢は正しいです。

 したがって答えは4です。

 参考:母音、子音とIPA(国際音声記号)について
 参考:母音の無声化で「です」「ます」の発音をキレイに!
 参考:日本語の音素と異音について





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