「入口/出口」はどのタイプの対義語?

日本語TIPS, 日本語の色んなお話, 日本語教育能力検定試験 解説

 「入口/出口」は対義語です。
 なんのタイプの対義語かというところについては、ある本には視点的対義語だと書かれていたり、また過去の赤本には両極的対義語と書かれていたり、記述が一致していないのが見受けられます。
 いったいどういうこと?

 視点的対義語はたぶん一番理解しやすい解釈です。
 坂を坂の上から見ると下り坂、坂の下から見ると上り坂と言うように、同じものでも違う場所、立場から見ると表現が変わったりします。そういうものを視点的対義語と呼んでいますが、「入口/出口」もまさにそう。コンビニ、喫茶店、自宅などなんでもいいんですが、ドアを外から見ると入口になり、中から見ると出口になります。

 これは素直に納得。

 問題は両極的対義語の解釈です。
 両極的対義語とは、中間地点が存在する様々な概念のその両端を取り上げたものです。これには「頂上/麓」などがあります。山は1合目、2合目… 9合目と中間地点があり、その両端に位置するのが頂上と麓です。

 「入口/出口」は中間地点ないじゃないか、と思うかもしれませんが、それはコンビニのドアなどを想像しているせいです。

 例えば、トンネルの「入口/出口」だったらどうでしょうか。
 トンネルは入口と出口の間に空間的な長さがあります。名前こそありませんが、確かに中間地点は存在します。このようにして考えると「頂上/麓」と同じ構造になるので、両極的対義語と解釈するのもうなずけます。

 人によって初めにイメージする入口と出口は違うということは…
 単に「入口/出口」と書かれているだけでは、視点的なのか両極的なのか判断はつかないことになります。出題するならしっかり「(トンネルの)入口/出口」「(家の)入口/出口」と書かなければいけません。

 こうして考えてみると、問題を作る人たちは本当に細心の注意を払っているんですね… おみそれしました。





日本語TIPS, 日本語の色んなお話, 日本語教育能力検定試験 解説