形態素の分類と語構成について
形態素の分類と語構成について
「私は学生です」を分解していくと、名詞「私」、係助詞「は」、名詞「学生」、断定の助動詞「です」に分けられます。これらは意味を持つ最小単位で形態素と呼ばれています。
形態素
形態素は意味を担う最小の言語形式のことで、{ }で表されます。例えば「逃げ水」は{nige}と{mizu}の2つの形態素からなっています。
(1) 原 {hara}
(2) 藤原 {wara}
(3) 海原 {bara}
「原」は単独で現れると /hara/ ですが、他の語について現れるときは /wara/ や /bara/ になったりします。このように、同じ意味や機能を持ちながら環境によって異なる形を取る形態素を異形態と呼びます。この場合、 /wara/ と /bara/ は形態素{hara}の異形態です。
形態素はまず、単独で現れることができるかどうかで分類されます。
自由形態素独立形態素 | 単独で現れることができる形態素。「お電話」の 「電話」、「効率的」の「効率」… |
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拘束形態素束縛形態素 | 単独で現れることができない形態素のこと。必ず他の形態素と結びついて現れます。接辞や助詞がこれです!「お電話」の 「お」、「効率的」の「的」… |
自由形態素(独立形態素)はさらに、自立できるものと自立できないものに分けられます。
自由形式 | 単独で自由に使える形式。 「原」は「はら」「わら」「ばら」などの形態を取りますが、「はら」だけ独立して現れることができるので自由形式。 |
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拘束形式 | 単独で自由に使えない形式。 「原」は「はら」「わら」「ばら」などの形態を取りますが、「わら」「ばら」は独立して現れることができないので拘束形式。 |
ちなみに拘束形態素は自律できないので拘束形式です。
まとめるとこんな感じ。
雨風 | {ame} 自由形態素の自由形式 | {kaze} 自由形態素の自由形式 |
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雨脚 | {ama} 自由形態素の拘束形式 | {asi} 自由形態素の自由形式 |
小雨 | {ko} 拘束形態素の拘束形式 | {same} 自由形態素の拘束形式 |
お電話 | {o} 拘束形態素の拘束形式 | {denwa} 自由形態素の自由形式 |
語の分類
自由形態素 | 単純語 | 1つの形態素からなる語 | 川、ペン… | |||
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合成語 | 2つ以上の自由形態素からなる語 | |||||
├ | 複合語 | 2つ以上の自由形態素からなる語 | ||||
│ | ├ | 複合名詞 | 後部要素が名詞からなる語 | 朝日、鶏肉… | ||
│ | ├ | 複合形容詞 | 後部要素が形容詞からなる語 | 暑苦しい、蒸し暑い… | ||
│ | └ | 複合動詞 | 後部要素が動詞からなる語 | |||
│ | ├ | 統語的複合動詞 | 後部要素が本来の意味を失った語 | 走り切る… | ||
│ | └ | 語彙的複合動詞 | 後部要素が本来の意味を担っている語 | 噛み切る… | ||
├ | 派生語 | 自由形態素と拘束形態素からなる語 | お金、楽しさ… | |||
└ | 畳語 | 自由形態素の反復からなる語(オノマトペも含む) | 人々、キラキラ… | |||
拘束形態素 | 接辞 | 単独で現れることができない | ||||
├ | 位置 | ┬ | 接頭辞 | 他の語基の前につくもの | 不~、無~… | |
│ | └ | 接尾辞 | 他の語基の後ろにつくもの | ~さ、~方… | ||
└ | 機能 | ┬ | 派生接辞 | 語基の品詞を変える働きをもつもの | ~さ、~らしい… | |
└ | 屈折接辞 | 文法的機能に関わるもの | 「食べる」の「る」… |