令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験Ⅲ 問題7解説

問1 漢字の授業

 1 板書で書き順示すって、1、2、3って言いながらってことですか。それちょっとやばすぎ。資料にまとめて書いて配布したほうが早い。
 2 全ての試験問題に共通することですが、学習者のニーズはいかなるときも最優先です!
 3 漢字を板書やカードで示すことは良いですけど、どうせだったら読みも板書したりカードにフリガナ書いたりすればいいです。さらに読んであげてもなおよし。
 4 文句のつけようなし。

 したがって答えは4です。

 

問2 漢字系学習者の学習上の問題

 漢字系学習者って言葉、検索してみるとホントにありました。漢字圏の学習者じゃなくて? これは名前にはケチつけたい。

 選択肢1
 この話は完全例えば。
 「今月31日限りで閉店します」には「限」という漢字があるので、「31日が期限なのかなー」とうっすら分かるはずです。漢字の意味って日本も中国も共通している意味がめちゃくちゃ多いからです。でも「寒い日は風呂に限る」を見たらどうでしょう。限界、制限にも「限」があるので、もしかしたら「寒い日はお風呂は制限する」みたいに捉えちゃうかもしれません。
 「限」が何となく分かるから、「~限りで」や「~に限る」などの文法の勉強がおろそかになる可能性は十分あります。
 本当のところは中国語母語話者に聞いてみないと分かりませんけどね。

 選択肢2
 これは選択肢1で説明したことと関連してます。

 選択肢3
 私たち漢字圏の人々は漢字を見るとすぐ意味が分かるしイメージもできます。字形と意味をしっかり結び付けているからです。しかし非漢字圏の人は漢字をパーツで捉える傾向があります。そのパーツを合わせて一つの漢字にする感じでしょうか。相当上達しない限り、意味のある文字に見えているわけではなく、記号に見えています。
 私たちがハングルやアラビア語「القرفالقرف」などを見るとなんじゃこりゃって思うあの感覚ときっと同じ。
 選択肢3の記述は非漢字系学習者の特徴です。

 選択肢4
 中国の漢字と日本の漢字のことです。「間」は「间」、「許」は「许」など、字形は似ていますが細部は異なります。
 言われてみると中国の大学で日本語を教えていた時、作文を書かせると日本の漢字を使って書いてくれないということが多々ありました。先生には中国の漢字でも伝わるだろうと思っているのか、はたまた日本の漢字が分からないから中国語のもので書いちゃえと思っているのか、日本もこうやって書くだろうと思って中国の漢字を書いているのか… 漢字圏の学習者、少なくとも中国語母語話者にはよく見られました。

 したがって答えは3です。



問3 字形識別の練習

 選択肢1
 字形が同一かどうかを識別する問題ではありません。漢字の成り立ちを問う問題です。
 こういう問題は象形文字しか出題できないんじゃ?

 選択肢2
 パーツを組み合わせて漢字を作る練習です。

 選択肢3
 パーツを組み合わせて漢字を作る練習です。

 選択肢4
 この問題は字形が同一かどうかの見極めが必要です。これはおもしろ。

 したがって答えは4です。

 

問4 品詞についての知識を図る練習

 選択肢1
 (例)は一応全部名詞に見えますが、「開始」はサ変動詞語幹、それ以外は名詞で品詞が違います。だから「開始」には二重線なんですね。
 (問)はおそらく「強行」が二重線になると思われます。「強行」はサ変動詞で、それ以外は名詞です。ちなみに「強運」はナ形容詞ですがナ形容詞語幹は名詞なので。サ変動詞語幹も名詞だろうって言われるとそうなんですが、動詞として使えるかどうかで棲み分けるのが良さそう。
 この問題は品詞の問題として適当です。

 選択肢2
 (例)は部首まだれ「广」とがんだれ「厂」の識別。
 (問)は部首うかんむり「宀」とわかんむり「冖」の識別。
 品詞じゃなくて、部首の知識です。何なら部首を知らなくても形で分かるんで、問題になってるかと言われると疑問。

 選択肢3
 無不未非で対応する対義表現を作る問題です。品詞を問う問題じゃない。

 選択肢4
 (例)について、「安」は音読みでアンなので、同じ音読みのaが正解ということのようです。
 だから(問)の答えは同じ音読みキョウのbでしょう。
 品詞ではなく読み方の知識を問う問題になっています。

 したがって答えは1です。

 

問5 形成的評価

 形成的評価とは、コースの実施途中に行う評価です。学習状況、定着状況を見るためにコース開始後に随時実施されます。小テストなどなど。

 1 クラス分けに用いる評価は診断的評価。
 2 これが形成的評価。学習者の点数とか悪いと定着度に問題があることが分かるので、この評価をもとにその後の指導を変えたりできます。
 3 総括的評価の記述
 4 コース自体を終了後に評価するということなので総括評価だと思われます。

 したがって答えは2です。

 




2022年9月23日令和2年度, 日本語教育能力検定試験